東京の私鉄、駅名の特徴は「山あり谷なし」 JRや地下鉄は「低地」の名前でも気にしない?
次に都内の大手私鉄7社で「谷」が付いた駅名を見ていく。
東急世田谷線…世田谷(大正14年)
京王線…幡ヶ谷(大正2年)
小田急小田原線…世田谷代田(昭和2年、当初は世田ヶ谷中原)、祖師ヶ谷大蔵(昭和2年)
西武池袋線…保谷(大正4年)
京急空港線…糀谷(明治35年)
東武…なし
京成…なし
以上7駅だが、都内の私鉄で○○山駅、○○丘駅が20カ所以上あるのに対して、やはりかなり少ない。
東京周辺の地形は丘も多いが谷も多い。だが駅名は山や丘だけが数多く付けられている。隣接県に対象を広げると、傾向はさらに顕著になる。
昭和戦後以降で○○谷駅は、探した限りでただ1つ、東急田園都市線の梶が谷駅(昭和41年)だけのようだ(新越谷、新鎌ケ谷など、昭和戦前以前に越谷、鎌ケ谷など重複地名の駅が開業している場合を除く)。
ちなみに梶が谷駅は、近くに「金山」という地名があり、金属を産出・生産した「鍛冶が谷」との関連が推察されている歴史的地名に基づく。
しかも○○谷駅は、昭和2年開業の2駅を除けばすべて明治、大正時代の開業なのも特徴的だ。
「丘」と比べ「谷」は少ない
一方昭和戦後以降、○○丘駅は、百合ヶ丘(小田急)、つつじヶ丘(京王)、ひばりヶ丘(西武)、藤が丘(東急)、ユーカリが丘(京成)、希望ヶ丘(相鉄)など10駅ほどが生まれている(名称変更含む)のとは対照的である。
また丘と同じように高い所を示す○○台駅も昭和戦後に激増する。とくに東武鉄道では、○○丘駅がない代わりに、○○台駅がお好みで、ときわ台、朝霞台、みずほ台、せんげん台、七光台、江戸川台、杉戸高野台といった駅ができている。
以上のことから、
・昭和初期まで○○谷駅という命名は、とくに避けられていなかったが、昭和戦後以降、○○谷駅という命名が避けられている
という法則が導かれる。
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