板挟み「中間管理職」こそ会社の宝である理由 組織の「知識創造」はいかにして行われるか
日本はミドルアップダウン型
企業の経営スタイルには、トップダウン型とボトムアップ型がある、といわれてきた。
トップダウン型の典型は、アメリカのGE社だ。元CEOのジャック・ウェルチは「1位か2位でなければ撤退」と明確な戦略を決め、その戦略を実行させた。トップダウン型は強力なリーダーシップで戦略を現場に降ろす。しかし現場での新たな知識の創造は軽視しがちだ。
ボトムアップ型の典型は、アメリカの3M社だ。3Mは社員の自律性を重視してきた。3Mのポストイットは教会の聖歌隊にいた研究者が「楽譜に貼ったり、はがしたりできるしおりがほしい」と試作し、社内でサンプルを配って広がったものだ。現場が知識を創造したのだ。
ここで知識について改めて整理してみたい。知識には2種類ある。例えば泳ぐ方法は、言葉で知識として説明されても、なかなかわからない。実際に水に入り息継ぎやバタ足を練習して、私たちは泳げるようになる。言葉にできない知識もあるということだ。この言葉にできない知識を「暗黙知」、言葉にできる知識を「形式知」という。
知識はまるで氷山のような構造になっていて、海の上に見える氷山の下に膨大な氷の塊があるように、言葉で伝わる形式知の下に言葉にできない膨大な暗黙知がある。
ボトムアップ型の組織は、社員が自律的に動き、現場の暗黙知を商品化するのが得意だ。しかし暗黙知は個人にとどまっている。暗黙知を全社に広げるのも難しい。
そして、トップダウン型もボトムアップ型も、中間管理職、つまりミドルマネジャーの役割が評価されていない。知識をつくる役割は、トップダウン型ではトップが、ボトムアップ型では現場の個人が、それぞれ担っていて、影が薄い。
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