一挙に6駅、駅名変更は京急の得意技だった 駅名看板を活用した話題づくりにも熱心だ

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さらに歴史をさかのぼると、大師線の港町駅と鈴木町駅は、第二次世界大戦前はコロムビア前駅、味の素前駅という名前だった。いずれも工場のあった企業名をそのまま駅名としたもので、戦時中の外来語禁止や防諜上の理由から地名に改めた。

鈴木町駅(画面右)は戦前、「味の素前駅」という名称だった(編集部撮影)

現在日本コロムビアの工場はなく、跡地には京急が建設した3棟の高層マンションがそびえ立つ。しかし港町駅には、この地をモデルとした美空ひばりのヒット曲「港町十三番地」の歌碑が飾られ、ボタンを押すと美空ひばりの歌声が流れるようになっており、工場があったことがわかる演出となっている。

一方の味の素工場は現在も稼働中であるが、地名にもなっている鈴木町の名前は味の素の創始者、鈴木三郎助に由来しており、勤務者はもちろん住民にも親しまれているので、港町ともども変える予定はないそうだ。

「北品川」は変えないの?

個人的には品川駅のひとつ南が北品川駅というのはがわかりにくいのではないかと思っていたので尋ねると、次のような答えが返ってきた。

北品川駅は品川駅より“南”に位置する(編集部撮影)

「北品川はある意味、七不思議のような存在で親しまれているので、現状では変えようという動きはありません。ただし品川駅の拡大工事と同時に北品川駅周辺は高架化されるので、品川宿や御殿山に近いことは配慮されるかもしれません」

京急にとって駅名公募は初めての経験であり、ここまで多くの意見が寄せられるとは思わなかったという。駅名が地域にとって大事なものであると再認識したそうで「変えて終わり」ではなく、むしろ地域活性化のスタートとなるよう活動していきたいと語っていた。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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