日本企業に足りない「リーダー育成」3つの視点 偶然リーダーが現れるような時代ではない

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リーダーシップを磨くための方法論は「守破離」にあると考えています。「守破離」を『デジタル大辞泉』でみると「剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。『守』は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。『破』は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。『離』は、1つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階」とあります。

例えば柔道では最初は「受け身」を徹底的に鍛錬します。何度も何度も繰り返して身体が自然に動くまで練習する。基本的には、リーダーシップを磨くこともこれと同じではないかと思うのです。意識せずに身体が自然に動くレベルまでもっていく。つまりリーダーシップと意識せずともリーダーとしての立ち居振る舞いができるようになるまで鍛錬するということです。

型を身につけてからこそ「型破り」が可能に

「守」にあたる初期段階で身に付けるべきリーダーシップの基礎を、私は次の7つの型に分類しています。日立では、これを型ごとにトレーニングのレベルにまで落とし込み実施してきましたが、優れて効果的であったと自負しています。

第1の型 Inspire        自分のやりたいことを言語化して伝え、その気にさせる
第2の型 Motivate        一歩前に出て仲間を自分を勇気付ける
第3の型 Build and Lead    旗を振って周囲を巻き込み動かす
第4の型 Communicate     何としてもわかってもらうために対話する
第5の型 Focus on Result  何があっても結果を出す
第6の型 Network       同志、仲間を作る、メンターを持つ
第7の型 Go Global           グローバルに向き合い付き合う

とくに目新しいものはないでしょう。でも日常業務でこれをどこまで実践できているでしょうか。はなはだ心もとないのです。だから磨き鍛錬する必要があります。

リーダーシップで「守」の段階は、乱取り稽古を通して徹底して「型」を身に付ける段階です。つまりは日々の業務の中で意識的にこの7つの型を使ってみて習得することです。「型通り」やってみること、これが「守」です。意識しないでもできるまでリーダーシップの型を鍛えることです。

そうした日々の鍛錬の段階を経てリーダーシップ発揮の際に応用できるようになるのが「破」という段階です。「型破り」とはまさに型をきちんと身に付けることによってはじめて型通りから型破りにつながるのです。

型ができていないのに自分勝手にやることは「無手勝流」というべきで、厳に慎むべきことであると思います。最後の「離」とは型から自由になり独自の世界を創造し、それを確立することです。リーダーシップでは「リーダーシップ持論」を持つ段階と考えています。この段階までを目標としてリーダーシップを磨く鍛錬をするようなプログラムを会社が用意し、それをリーダーが実行していくということが求められるのです。

山口 岳男 コーナーストーンオンデマンド顧問

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やまぐち たけお / Takeo Yamaguchi

日立製作所本社人財部門でグローバル人財戦略担当本部長後、日立総合経営研修所取締役社長を歴任。日立全グループ30万人を対象とする「日立ユニバーシティ」の導入を始め、グローバル人財マネジメント基盤の構築を推進した。 現在はEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社シニアアドバイザーも務める。

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