社会保障改革提言で小泉進次郎氏を採点する

「100点満点」で結局「何点」をつけられるか?

まず、冒頭の検討の経緯に「社会保障制度は、個人では対応できないリスクを社会全体でカバーすることで、国民が安心して前に進むことを支える制度基盤である」とあるが、この認識は的確であり、表現もうまい。さすが、コイズミ君だ。内容に期待が高まる。

「支える側」「支えられる側」は、いい区分なのか?

提言は「2.基本的考え方」で、「支える側」と「支えられる側」の人数のバランスを見直すことの重要性を説く。コイズミ君は「リバランス」という表現を使っている。

年金を中心とする社会保障制度がテーマで、「支えられる側」が主に高齢者であることを考えると、「支える側」と「支えられる側」の区別を露骨に強調するのはいかがなものか。多分、この言葉遣いはあまりよくない。

経済的にも職業スキルなどの能力の点を見ても、高齢者が困っていて「支えられる側」で、若年者が「支える側」という区分は、今や実態に合っていない。むしろ相対的に困窮している弱者は若い層かもしれない。高齢者が若年者を支える関係でもある。また、「支える」「支えられる」の関係は、実際にはお金のやり取りだけではなく、もう少し複雑だ。

「高齢者が、若年者を支える社会でもある」ことを述べ、高齢者も「支える側」なのだと明記し位置づけるほうが、高齢者がプライドを持ち、気分よく働けるのではないか。

目指すところは、(1)高齢者も大いに働く社会と、(2)年金の支給開始年齢の引き上げ、なのだろう。だが、(2)のみを露骨に連想させ問題を人数と金額に還元する「リバランス」という言葉は(金融でも使う言葉なのだが)ここで使うと品がない。

「年齢を基準に『高齢者』とひと括りにすることは現実に合っていない」という着眼はいいのだが、表現の工夫と、「エイジフリー」の考え方をどう貫徹するのか、もっと力強い言及がほしかった。ここは答案なら少し減点する箇所かもしれない。

さて、提言そのものに書かれているわけではないが、報道によると、具体的な政策としては、年金の受給開始年齢の選択肢を現在の「65歳標準で、60歳から70歳まで繰り上げ・繰り下げ可能」を、まず「65歳標準で、60歳から75歳まで繰り上げ・繰り下げ可能」として、選択の幅を拡げつつ、繰り下げ受給のほうが得な面を強調する方針とも言われる。

次ページ言うべきことを言わないので「減点」
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