ニセ科学「ホメオパシー」の実践が危険な理由

毒物の「ヒ素」でさえ薬にしてしまう謎理論

「ホメオパス」と呼ばれるホメオパシーの「専門家」がいるにはいますが、民間のホメオパシーの団体が独自に認定した資格にすぎず、国家資格ではありません。「水の記憶」や「波動」にも科学的根拠はありません。

ホメオパシーの理論で言えば、ヒ素のレメディはヒ素中毒に効くはずですが、実際にはヒ素中毒に対してではなく、不安や焦燥感に使われています。ヒ素中毒が、不安や焦燥感といった精神症状を引き起こすからでしょう。よく言えば柔軟で、悪く言えばいい加減です。

ヒ素だけでなく、ほかにもじつに多種類のレメディがあります。アロエ、ベラドンナ、毒グモ、ヒゼンダニ、犬の乳、亜鉛、硫黄、水銀など。変わったものでは、ベルリンの壁のレメディや般若心経のレメディがあります。

民間療法というより「加持祈祷」のたぐい

般若心経のレメディがいったい何に効くというのでしょうか。ホメオパシーの理論によると、般若心経のレメディは般若心経によって生じる症状に効くことになりますが、あるホメオパス(ホメオパシー治療を行う者)のブログによれば、成仏していない霊の憑依(ひょうい)や生霊に使うのだそうです。

もはや民間療法というより加持祈禱の類ですね。生霊に効かすつもりなら、生霊を何度も繰り返し薄めたレメディを使わなければならないはずですが、さすがに材料の生霊が手に入らなかったのでしょう。

また、レメディは結構お高いです。例えば、小ビンに入った般若心経のレメディはネットショッピングのサイトで税込2052円で売られていました。ホメオパシーでは症状に合わせてレメディを選んで使うので、多種類のレメディを準備しなければなりません。

よく使う種類のレメディがセットになったものは1万円以上の値段がついています。ホメオパスに相談すると、これまたお金がかかります。保険はききませんので全額自費です。

値段が高くても、効けばまだいいでしょう。でも、これらのレメディに効果はありません。薬に効果があるかどうかは、その薬と似たニセの薬と比べてみることで証明できますが、臨床試験でレメディに似せたニセの薬と比較したところ、差がないことがはっきりわかっています(※1 Shang A et al. Are the clinical effects of homoeopathy placebo effects? Comparative study of placebo-controlled trials of
homoeopathy and allopathy., Lancet. 2005 Aug 27-Sep 2; 366 (9487): 726–32.)。

レメディには薬効成分は残っていませんから当然です。

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