なぜ今?京急空港線「大幅値下げ」の真相 ライバルの東京モノレールはどう出るか

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京急の場合は、10月1日から170円の加算運賃を50円に引き下げる。つまり、120円の値引きだ。品川―羽田空港間の運賃でいえば、407円から287円への大幅値下げである。

京急空港線の羽田空港国際線ターミナル駅ホーム(編集部撮影)

これによって「年間40億円程度の収入減になるが、いっぽうで、当社線利用者も増えることで15億円程度の増収も見込まれ、差し引きで年間で25億円程度の影響がある」と、京急の担当者は語る。

京急が加算運賃の引き下げを発表したのは2月19日。そのわずか4日前の2月15日には、JR東日本が東京都心部と羽田空港を結ぶ新路線「羽田空港アクセス線」について環境影響評価の準備を始めるという発表を行っていた。

東京駅と乗り換えなしで結ばれる羽田空港アクセス線というインパクトの大きいニュースから間髪を入れずに京急の発表がなされたこともあって、加算運賃引き下げと羽田空港アクセス線を結びつける報道が目立った。そこから、羽田空港アクセス線への対抗策として京急が値下げに動いたのではないかという見方ができなくもない。

消費税率引き上げと同時に

だが、羽田空港アクセス線の開業は早くても10年後の2029年。そんな先の話に京急が今から対抗策を講じるとは考えにくい。そもそも、京急の加算運賃は順調にいけば2022年度の前後には廃止となる。羽田空港アクセス線対策というならその時点で廃止しても遅くない。京急がこのタイミングで加算運賃の引き下げに動き出したのは、ほかに理由がある。

第1の理由は、今年10月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げに合わせて、加算運賃を引き下げるというものだ。10月に税率変更に伴う値上げを行い、その後に加算運賃を引き下げまたは廃止しても構わないはずだが「運賃を何度も変更してお客様を混乱させてしまうよりは、同時に行うほうがよい」と京急の担当者は話す。

ただ、前述のとおり、京王が加算運賃を2度にわたって引き下げる例を見ると、「同時に行う方が混乱が少ない」という理由だけでは説得力に欠ける。実は第2の理由がある。

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