JR東の「羽田空港アクセス線」計画、ついに始動 5~6月に環境影響評価着手、開業は10年後
東京都心部で進む数々の鉄道新路線計画。「大物」がついに動き出した。
JR東日本の深澤祐二社長は2月15日、都内で開いた講演会で、同社が計画している東京都心部と羽田空港を結ぶ新路線「羽田空港アクセス線」について、「環境影響評価(アセスメント)の手続きに向けた準備を進める」と発表した。現在は進め方について関係各所と協議を行っている段階で、深澤社長は「5月か6月には着手したい」と述べた。
羽田空港アクセス線は、湾岸部にある東海道貨物線の東京貨物ターミナル付近から羽田空港国内線ターミナルまで約5.0kmの新線を建設し、既存の路線と接続するなどして都心部と羽田空港を直結する計画。東京駅方面と結ぶ「東山手ルート」、新宿駅方面と結ぶ「西山手ルート」、新木場駅方面の「臨海部ルート」の3ルートを整備する。
まず東京駅方面と結ぶルートを整備
今回、環境影響評価の手続きを始めるのは東京貨物ターミナル付近と羽田空港を結ぶ約5.0kmの「アクセス新線」と、約7.4kmの東山手ルート。残る2ルートについては、着手時期は未定としている。
JR東日本は整備について、環境アセスメントに約3年、工事の施工に約7年を要すると想定している。順調に進めば、2029年夏頃には開業できることになる。
東山手ルートは東京貨物ターミナル駅から東海道本線の貨物支線(大汐線)を経由して東海道本線に乗り入れ、東京駅方面へと向かう計画。実現に向けては羽田空港までのトンネルのほか、田町駅付近に大汐線と東海道本線を結ぶ短絡線を建設する必要がある。
開業すれば、東京モノレール乗り換えで28分かかる東京―羽田空港間は18分に短縮される。また、上野東京ラインに乗り入れることから、「宇都宮・高崎方面、常磐線方面とのアクセスが改善される」(深澤社長)という。
ほかの2ルートも開業すれば、京急線品川乗り換えで43分かかる新宿―羽田空港間は23分に、モノレール乗り換えで41分かかる新木場からは約20分となる見込みだ。
これまでの試算では、全3ルートを合わせた総事業費は約3400億円。国土交通省の交通政策審議会による分析では、事業で得られる効果を費用で割った費用便益比(B/C)は1.1となっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら