京急が引き下げ、「加算運賃」が抱える問題点 条件満たしても「値下げ」されない例があった
京浜急行電鉄が2月19日に、京急蒲田駅―羽田空港国内線ターミナル駅間を運行する京急空港線の加算運賃を10月1日から引き下げると発表した。
同社では、空港線の延伸工事等に要した設備投資額等を回収するため、同線の天空橋―羽田空港国内線ターミナル駅間とほかの区間をまたがって乗車する場合に、基本運賃に加え、加算運賃を設定していた。その加算金額は大人の普通旅客運賃で170円だ。しかし、同区間利用者が堅調に増加し、加算運賃収入等による設備投資額等の回収が順調に進捗してきたという理由で、120円引き下げ50円にする。
つまり、現在の品川駅―羽田空港駅国内線ターミナル駅の運賃410円(基本運賃240円+加算運賃170円)が290円(基本運賃240円+加算運賃50円)になるという。いわば大幅値下げであり、驚いた消費者や鉄道関係者も多かっただろう。
不透明だった加算運賃の廃止時期
定期券旅客運賃も通勤1カ月が4390円、通学1カ月は1430円引き下げられる。一方で、近場の羽田空港国内線ターミナル駅および羽田空港国際線ターミナル駅と穴守稲荷駅、大鳥居駅、糀谷駅および京急蒲田駅各駅の相互間は基本運賃に対する加算運賃の比率が高くなってしまい、割高感があることから、20~30円の割引を適用していたが、加算運賃の引き下げとあわせて廃止される。それでも、羽田空港国内線ターミナル駅―京急蒲田駅間で90円安くなる。
筆者は2017年12月27日付記事(京急空港線「5年後に大幅値下げ」実現するか)で、京急を中心に加算運賃が抱える問題点を紹介しているが、今回、この問題を掘り下げてみるととともに、今回の値下げの影響を改めて考えたい。
筆者は、消費者問題の研究者で公共料金に関心を持つ者が少ないことから、長年、公共料金の決定プロセスや消費者参画のあり方を研究してきた。とくに鉄道運賃に焦点をあて、中でも、時限運賃であるはずの加算運賃が一向に廃止されないことを問題視してきた。一昔前までは資本費や回収率などの一切の情報が非公開であった。そのため、メディアや国会議員に働きかけ、ようやく一定の情報開示は行われるようになったが、不十分であった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら