京急が引き下げ、「加算運賃」が抱える問題点 条件満たしても「値下げ」されない例があった
明らかに鉄道業務課長の国会答弁と矛盾しているが、国交省はこれを押し通し、通達を出した。ただし、回収にあたっては加算運賃のほか、基本運賃からも充てることとし、以下の金額とした。
このような方針のもと、現在各社が加算運賃の状況を開示しており、国交省がHPで現在の加算運賃適用路線、通達とともに各社の当該部分のURL情報を明示している。
京急の加算運賃は高額だった
国交省の資料によると、加算運賃の設定路線は14社22路線だ。設定区間の長さ、加算運賃額はそれぞれ異なるが、京急空港線は3.2kmに対して170円と高額だ。利用者が多い品川―羽田空港間でみると基本運賃240円に対して加算運賃が170円で加算運賃の比率が高いことがわかる。他社を見ても空港へのアクセス線には比較的高額である路線が多い。
JR北海道・千歳線(南千歳―新千歳空港2.6km)140円
京成本線(京成成田―成田空港8.1km)140円
京急空港線(天空橋―羽田空港3.2km)170円
名鉄空港線(常滑―中部国際空港4.2km)30円~80円(距離による)
南海空港線(泉佐野―関西空港8.8km)120円~230円(距離による)
JR西日本・関西空港線(日根野―関西空港11.1km)150円~220円(区間による)
JR九州・宮崎空港線(田吉―宮崎空港1.4km)120円
空港アクセスは生活路線でないことから運賃抑制の意向が働きにくいのであろうか。京急の加算運賃については、空港アクセスとして競合している東京モノレールが470円(当時)であることから、競争になるように京急の運賃を400円台に調整したのではといううわさもあったが、今回の値下げで競争条件は激変するだろう。
なぜ今、大幅値下げなのか
消費者にとって、値下げは大歓迎であり、京急の決定を評価したいが、なぜ今の時期にこの金額を決めたのであろうか。
まず、時期だが、前述のように各社とも加算運賃区間の資本費回収状況が開示されており、京急空港線は以下のとおりである。
2017年度までで回収率は76.3%だ。近年の回収率は毎年5%ほどなので、前述の筆者のオンライン記事では2022年ごろに100%となり、廃止時期を迎えると述べたが、今回、早めの値下げとなった。国交省の通達のなかに「資本費コストの回収完了が加算運賃の終了時期であるが、終了時期前であっても鉄道事業者の経営判断により、加算運賃を減額、又は廃止することは、当然に認められる」との一文があり、これを適用した形だ。
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