京急が引き下げ、「加算運賃」が抱える問題点 条件満たしても「値下げ」されない例があった

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そうした中、筆者が消費者庁とともに設立された内閣府消費者委員会の委員(2011年9月からの2年間)になり、公共料金問題を調査し、「公共料金問題についての建議」を国土交通大臣に行う際に加算運賃をその対象とした。消費者委員会は消費者行政の監視役として総理大臣や関係大臣に建議する権限を持つ独立委員会だ。

加算運賃は空港アクセスなどの新線建設において、その設備投資額等の初期資本費回収を容易にするために認めるもので、その運賃額の決定は10年で初期資本を50%回収できるようになされてきた。廃止時期については、明確な規定はないが、1987年12月22日の衆議院「物価問題等に関する特別委員会」において共産党岩佐恵美議員の質問に答える形で運輸省(現・国交省)地域交通局鉄道業務課長岩田貞男氏が以下のように述べている。

原則は一社一運賃でありますが、初め新線ができまして資本費が非常にかさむという場合については、利用者、受益者との負担の均衡を図る観点からそういう加算運賃制度を採用しております。確かに順次その資本費というものは軽減されて一般化されるものですから、一般と同じような、普通の違う区間の資本費と同じようになるものですから、そういうことで十年を一つの目途としてそういう加算運賃については順次逓減(ていげん)させていこうというような方針でおります。

回収率50%でも逓減されない例が…

廃止とは言わず、逓減という言葉を使っているし、予想通りに回収が進まなければ当然、その時期は伸びるものではある。しかし、10年で50%が回収できた路線においても一向に逓減しない状況にあった。そうした状況を打破するために、消費者委員会は下記の建議を2012年2月に行った(加算運賃部分)。

加算運賃を導入している路線の運賃回収状況や、長期間、加算運賃を継続する必要性等については、説明責任が十分に果たされているとは言い難いことから、当該情報についての確認を行い、適切に情報提供を行うこと。なお、確認の結果、加算運賃の必要性が乏しくなったと判断される場合には、事業者に対して、加算運賃の見直しに係る適切な指導等を行うこと。

これに対応した国交省は情報の公開については鉄道各社に行わせることとし、大きく前進したが、加算運賃の見直し時期については回収率が50%ではなく、100%だと言いだした。従来の発言の意味は10年で50%が回収できるように加算運賃の金額を決めたということだけであり、廃止を含めた見直しの時期ではないと言い始めた。

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