金メダルから21年「白馬ジャンプ台」厳しい現実 日の丸飛行隊の感動も、競技人口減で苦境
スキーシーズンに当たる12~2月の来訪者の多くが外国人になったのも、ジャンプ台の運営を考えるとやや厳しい点だ。
地元コンビニには英語のみならず、中国語の案内も出されており、近年は中国人などアジアからのスキー客も増加している。
冬季五輪に関心の深い欧州の人々はまだしも、アジアの人から見るとジャンプ台はなじみ薄い存在。「スキーついでにジャンプ台にも寄っていこう」と行動を起こすケースは少ないだろう。そういった外国人観光客を含めて、より多くの人々に白馬ジャンプ台へ足を運んでもらうためのアプローチが求められているのは確かだ。
いちばんの早道といえるのは、ジャンプ競技の盛り上がりとレベルアップ。長野五輪から16年が経過した2014年ソチ五輪で、地元・白馬村出身の渡部暁斗(北野建設)がノルディック複合個人ノーマルヒル銀メダルを獲得。
さらに4年後の2018年平昌五輪でも同種目で2大会連続銀メダルを取ったように、地元からジャンプのスター選手が続々と出てくる状況になれば、「白馬でジャンプを見たい」と考える人も増えるはず。現に、渡部暁斗も「日の丸飛行隊」が金メダルを獲得した瞬間を小学生時代に現場で見て、ジャンプを始めている。
そういう子どもたちが何人も出てくればトップ選手輩出の可能性も高まるし、白馬のジャンプ界も活況を呈する。それこそが最も理想的なシナリオなのだ。
ジャンプ人口は減少の一途
しかしながら、残念なことに地元を含めたジャンプ人口は減少の一途をたどっている。
白馬ジャンプ競技場で競技強化担当を務める目時慎一氏は「渡部暁斗・善斗(北野建設)兄弟が中学生だった15年前は長野県全体で約40人の中学生がジャンプ競技に取り組んでいましたが、今は20人を切っています。北海道にしても、小学生の数は長野より多いですけど、中学生はほぼ一緒。競技人口が多いとは言えないですね」と厳しい現状を口にする。
長野県内の小中学生年代を見ても、15年前は白馬、小谷、野沢、木島、菅平、山ノ内、飯山の7カ所で競技に取り組む子どもたちがいたが、現在は中学年代が白馬、小谷、山ノ内、野沢の4地域、小学生年代は飯山を加えた5地域に減っている。「白馬村スキークラブ」に在籍する小学生も、白馬村の2つの小学校の各1人と、大町、東京から定期的に通ってくる子どもの合計4人しかいないという。
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