幼児期までに「多様な細菌」と触れ合うべき理由 「ママ医師」が教える菌との正しい付き合い方

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アメリカ食品医薬品局は2016年9月、19種類の殺菌成分を含むせっけんの一般販売を禁止すると発表しました。この発表を受けて、厚生労働省も同19成分を含まない製品に変更するようメーカーに要請し、現在ではこの19の成分を含んだハンドソープは基本的に市販されていません。

しかしドラッグストアに行くと、いまだに「殺菌」と表示された商品がほとんどです。他の殺菌成分に切り替えられて、たくさんの抗菌せっけんが販売されているのです。

ここまで見てきたように、病気を予防するために、体中の菌を殺菌することはできませんし、その必要もありません。むしろ、普段から存在している細菌が細菌叢という生態系を作ることで、病気を起こしやすい細菌が繁殖しにくくなっている面もあるのです。

逆に言えば、菌をすべて殺そうとすると、よい細菌もいなくなることで病原菌が繁殖しやすくなることがあります。このような細菌のバランスの変化と病気の関係について、詳しくわかってきているのが腸内細菌です。

以前は、腸内細菌を調べようと思ったら、一つひとつの細菌を培養することが必要でした。しかし、腸の中ではさまざまな種類の細菌が集団で存在しているので、実験室とはまったく違う環境です。そのため、うまく培養できない菌もたくさん残されていました。

ところが、近年はゲノム技術の発達により、培養せずにどんな腸内細菌がいるかを詳しく調べることができるようになりました。そこで、腸内細菌についての研究が大きく進んできたのです。

たくさんの研究結果が出てくるにつれ、健康であることと、腸内細菌の種類や多様性には、どうやら関連があるのではないかと言われはじめています。そしてその腸内細菌叢がつくられるのは、新生児から乳幼児期にかけてです。その時期にどんなことが腸内細菌に影響するのかも、重要なトピックになっています。

抗菌薬がアレルギー性疾患の原因になる可能性

例えば、2歳までの抗菌薬の使用により腸内細菌が乱れ、アレルギー性疾患が増える可能性も指摘されています。

国立成育医療研究センターの山本貴和子医師らがまとめた日本の研究をご紹介しましょう。2004年から2006年の間に産まれた赤ちゃん902人を対象に、両親へのアンケート結果から、抗菌薬の使用歴と、アレルギー性疾患の発症に関連があるかどうかを調べました。

すると、2歳までに1回でも抗菌薬を使用したことがある子は、そうでない子に比べて、5歳の時点で気管支喘息になっているオッズ比が1.72、アトピー性皮膚炎で1.40、アレルギー性鼻炎で1.65と、いずれも高かったのです。

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