「MMT」や「反緊縮論」が世界を動かしている背景 「AOC、コービン」欧米左派を支える主要3潮流

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ジャン・リュック・メランションは、2012年仏大統領選挙で共産党、左翼党その他の左翼諸党派の連合「左翼戦線」の候補として第1回投票4位で11%得票し、2017年の大統領選挙では「屈しないフランス」の候補として第1回投票4位で約2割得票し、もう少しで決選に入るところだった。

2012年の選挙戦で彼は、欧州中銀に関する指令や法令を修正し、欧州中銀が「民主的コントロールの下で、諸国に対して直接に低い利率で──あるいはいっそ無利子で──貸与することを認め、公債を買うことを認める」ようにしなければならないと提案している

2017年の選挙戦では、2730億ユーロの歳出拡大し、うち1000億ユーロの公的投資で景気刺激して350万人の雇用を創出すると公約している。また選挙中、『フィガロ』紙で、欧州中銀が諸国の公債を買い取って永久債にしてしまえば、債務は消えてしまって諸国は解放されると述べている。

フランスのメランションの経済政策ブレーンには、ネオ・マルクス主義者のジャック・ジェネルーや、ポストケインジアンでネオ・カレツキアンのATTAC創設メンバー、リェン・ホアン・ゴックがいる。

上述の『フィガロ』の記事では、ジェネルーが、欧州中央銀行が「公的債務を直接ファイナンスできるように」改革するよう呼びかけていることが報じられている。

ピケティvsバルファキス

バルファキスは、ギリシャ急進左翼党政権の最初の財務大臣として債権者側との交渉を闘い、首相が屈服したので辞任したのち、全欧州の民主化を目指すDiEM25を立ち上げて、反緊縮の経済政策を求める運動を行っている。

近時、経済学入門書『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ダイヤモンド社)と、対EU交渉の内幕暴露本『黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層』(明石書店)の2冊の日本語訳書が出版され、ようやく日本でも知られるようになった。

彼は経済学者で、元来の専門はゲーム理論なのだが、ケインズ派でありマルクス派であることも自称している。

彼がDiEM25などで打ち出している経済政策「欧州ニューディール」は、筆者たちの「ひとびとの経済政策研究会」で和訳を発表しているバルファキスの論説「ヨーロッパを救うひとつのニューディール」に詳しい(この論説は、亜紀書房から近刊の共著書『「反緊縮!」宣言』に所収)。

それは、上記欧米左派反緊縮経済政策論すべての影響を受けていると思われる。そこには、MMTの看板政策である「雇用保障システム」が掲げられている。

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