煙たがられる「頑固者」に誰もが傾いていくワケ 年を重ねたベテランが陥りやすい「落とし穴」

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一見すると単純なことのようにも思えますが、シンプルなことでつまずいてしまうのも人間というもの。まずは心を空っぽにして、自分のメンタルを軽くすることこそが、「頑固頭予防・解消」への第一歩といえるでしょう。

肉を食べることと脳の相関関係

さて、先ほど「自分が正しいと感じるバリア内にいて、相手を理解するのを放棄したほうがラク」と述べましたが、それに関連し、歳を重ねるごとに若い頃のような意欲がなくなって、「何となくやる気が出ない」「何かを始めようとするモチベーションが湧かない」といった思いを抱いている人は多いはずです。

しかし、ともすれば他人からは「怠けグセ」と思われ、自分では「歳のせい」として片付けてしまうことも少なくないようです。

実はこの現象も、脳の老化が原因で起こっているのかもしれません。「やる気」や「意欲」が湧くのは気分の問題だろうと思いがちですが、それは脳がコントロールしている領域です。

人間の「意欲」や「やる気」を高める役割の主役は「ドーパミン」という脳内物質です。脳内にドーパミンが足りていれば気持ちも意欲的になりますが、不足するとやる気が起きない状態になります。

では、このドーパミンの増やし方について、自分にとって一番身近な「食」の面からみたときはどうなのか。これも単純なことにも思われるかもしれませんが、その答えは「ドーパミンの主原料であるたんぱく質を十分に取ること」です。

たんぱく質は食事で体に取り込まれ、消化酵素によってアミノ酸に分解されますが、ドーパミンをつくるためにはたんぱく質をたっぷり取らなくてはなりません。

ところが、体力の衰えを多少なりとも意識する年齢になると、肉類をあまり食べない人も多くなり、たんぱく質が不足した状態になりがちです。

しかし、肉類を食べるのが最も効率のよいたんぱく質の取り方ですから、カロリーや脂質のことも考え、適度は運動などでカロリー過多にならないよう心がけながら、上手にたんぱく質を取るよう日頃から心がけましょう。

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また、ドーパミンをはじめ、脳内の神経伝達物質の合成にはさまざまな栄養が関わっていて、たんぱく質と同時にそれらも取っていくことが大切です。たとえばビタミンには、脳の血流をよくしたり、脳神経の働きを改善する作用があり、動脈硬化の原因となるホモシステインや活性酸素を除去する働きもあります。

現在のシニア世代の20%はビタミンB12不足ともいわれています。シニア世代はもちろん、まだシニアの領域には達していない40、50代の人たちもまた、魚介類やレバーなど、ビタミンB12の多い食品を積極的に取りたいものです。

保坂 隆 保坂サイコオンコロジー・クリニック院長

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ほさか たかし / Takashi Hosaka

1952年、山梨県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経科入局。東海大学医学部教授、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。著書に『精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術』『精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術』『精神科医が教える60歳からの人生を楽しむ孤独力』『精神科医が教える すりへらない心のつくり方』などがある。

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