東急大井町線「Qシート」、改善の余地は大きい 待合室がなく、予約変更は実質不可

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大井町駅に、繰り上げた列車の発車時刻より、さらに20分も早く着いた。大井町駅はJRと東急の間に乗り換え改札はない。両者の改札が近く、間にわずかなコンコースがある。ここで筆者は、いつもの癖でJRの改札を出た後、そのまま東急の改札を通過した。これが失敗だった。予約したQシート連結列車の発車20分前。目の前に5分後に発車する急行がいた。田園都市線直通の長津田行きだ。Qシートはない。しかし空席はある。

大井町駅ホームのQシート利用者用待合スペース(編集部撮影)

これに座れば15分早く帰宅できる。しかしQシートの払い戻し手数料は100円。さっきも変更のため100円で払い戻している。400円の指定席をやめると200円も取られ損だ。なんだかもったいないという貧乏性で急行を見送り、次のQシート付き急行を待った。15分後だ。この15分がつらかった。寒い。大井町駅は高架駅である。線路脇に大きな広告看板が並んでいるけれども、風よけにはならない。Qシート利用者向けの待合スペースは、プラットホームに黄色い線で囲ってあるだけ。風よけになってくれそうな案内板もベンチもない。

たった400円の指定席客が待合室を望むとは贅沢だろうか。待合室ではなくても、せめて風よけ、あるいは、改札口寄りに設置してあるベンチと同じものを置いてくれてもいいと思う。私は20分も前に東急の改札を通ったことを後悔した。発車間際まで改札を通らず、暖かい場所で待つべきだった。もっとも、かつて東急の駅ビルにあったコーヒーショップは撤退していた。あったとしても、駆け込み乗車にならない時間を見計らって、改札を通るタイミングを計る必要がある。

全ドア開放による車掌vs乗客の攻防

Qシートのサービス内容と東急電鉄の考え方については、当サイト2018年11月13日付「大井町線に『指定席車』を導入する東急の思惑」に詳しい。東急電鉄は田園都市線地下区間の混雑解消のため、二子玉川―渋谷間の乗客の一部を大井町線に流したい。その施策の1つがQシートだ。

着席保証のQシートで帰宅したいなら、定期券を大井町線経由にしませんか。その意図はQシートの運用で明らかだ。乗車可能駅は大井町、旗の台、大岡山、自由が丘。田園都市線と合流する二子玉川駅は降車専用。溝の口、鷺沼まで降車専用で、たまプラーザから先は乗降自由になる。大井町はJR京浜東北線、旗の台は東急池上線、大岡山は東急目黒線、自由が丘は東急東横線に乗り換えられる。つまり、田園都市線以外の都心向けルートの要だ。

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