東急大井町線「Qシート」、改善の余地は大きい 待合室がなく、予約変更は実質不可

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東急沿線はつねに住みたい沿線ランキングの上位であり、とくに田園都市線沿線に住む人々は、東急ブランドを意識して転居した世代やその影響を受けた次世代だ。私もしかり。なかには近年の田園都市線の混雑に嫌気する人も多いだろうし、故障や遅延も困りもの。それでも多摩田園都市に住む人の心の奥底は東急ファンであろうし、その家族も東急ファンだと思う。

多摩田園都市の住みやすさは東急だけの力ではない。横浜市や区画整理組合に参加した多くの農家、地主の協力によるものだ。そして、東急沿線ブランドを多くの人々が大切にしている。そんな人々に対して、「あなたはこの車両には乗れません」というサービスはどうか。繰り返すが、車掌さんの態度はいい。とても丁寧で、乗客に舌打ちされる場面では気の毒に見える。でも、私が車掌だったらストレスがたまりそうだ。

ドア扱いを1カ所に絞るだけで、ずいぶん改善されると思う。

多摩田園都市ファンを悲しませないで

Qシート運行開始時のプレスリリースにあった「運行本数の増発などの継続的なサービス改善」は、ひとまず今年3月のダイヤ改正では反映されなかった。大井町発19時32分、20時30分、21時21分、22時27分、23時10分の5本のみ。発車時刻が微妙に変わっただけだ。

Qシートの車内(編集部撮影)

1時間に1本、1日5本は少ない。次のQシート連結列車が来るまでに、Qシート非連結の急行が1~3本ある。Qシートの増便、路線拡大については早く着手すべきだ。夕夜間の急行のすべてにQシートがあって、払い戻しではなく、無料で変更できればなおいい。今はプラットホームで佇むにはよい季節だ。しかし、冬とこれからやってくる猛暑の季節のために、大井町駅には待合室が欲しい。旗の台駅に造れた施設が、なぜ大井町駅では造れないのか。5月13日に東急電鉄が発表した「2019年度の鉄軌道事業設備投資計画」に、Qシート車両の追加、サービス改善に関する項目はなかった。

私は東急電鉄が好きだ。Qシートも気に入っている。だからあえて言う。改善を急いでほしい。もし遅れれば、ここから東急ブランドの綻びが始まりそうな気がする。

杉山 淳一 フリーライター

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すぎやま じゅんいち / Junichi Sugiyama

東京都生まれ。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社でパソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当したのち、1996年にフリーライターとなる。IT、PCゲーム、Eスポーツ、フリーウェア、ゲームアプリなどの分野を渡り歩き、現在は鉄道分野を主に執筆。鉄道趣味歴40年超。全国の鉄道路線完乗を目指してコツコツと旅を重ねている。鉄旅オブザイヤー選考委員。基本的に、列車に乗ってぼーっとしているオッサンでございます。

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