産経新聞・毎日新聞の窮乏、単独での生き残りはもはや限界
編集局に比べこれまで経費支出に比較的寛容だった出版局でも、昨年11月以降は2カ月連続で「一律3割カット」の大号令。それでも流血が止まらないため、年明けからはついに「1万円以上の支出についてはすべて事前認可制になった」(関係者)という。それも直接の上司、経理部、管理部、局長と四つもの認印が必要とか。幹部の一人は「要するに使うなということ」と言い切る。
人材採用も絞り込み、定期的に行ってきた一般記者職の中途募集も実質取りやめに。昨年8月末には北海道での夕刊廃止(対象部数1万5000部強)にも踏み切った。業界内では一時、役員などの報酬遅配のうわさも駆け巡ったほどだ。
「ウチが生き残る方法は『聖教毎日新聞』になることだ」。社員の間では、ひそかにこんな自虐ネタまで交わされているという。子会社の東日印刷などが創価学会から聖教新聞の印刷を受託し、糊口をしのいでいるためだ。また水面下では、中京地区で圧倒的なシェアを誇るブロック紙、中日新聞との関係強化を模索する動きもあるようだ。
昨年12月、いずれも劣らぬ苦しさの産経と毎日が手を組んだ。産経が九州地域で販売する新聞の印刷を毎日に委託するもので、今年10月スタートの予定。具体的には、現在、大阪で印刷して空輸し、地元ブロック紙の西日本新聞社に委託して配達している新聞を、毎日の北九州工場(福岡)か鳥栖工場(佐賀)での印刷に切り替え、引き続き西日本新聞のネットワークに乗せて配達する。
対象部数は当面3300~3500部にとどまるとはいえ、両社では九州地区に続いて岡山県内の両社印刷工場間での紙面制作や配送などでも提携していくことで合意。07年10月に読売、朝日、日経の“勝ち組”3社が業務提携したことを受け、除外された2社がやむにやまれず急接近した。「見るも無惨な弱者連合」(関係者)だ。
広告収入急減の衝撃 勝ち組新聞社も苦境
もっとも、インターネットの侵攻と景気悪化による広告収入の急減に直面する業界では、勝ち組新聞社も、すっかりメッキが剥げ落ちている。その代表格とされているのが朝日新聞社だ。