バイトから5年で専務に昇進した女性の生き様 いじめ経験が社会に出て役立った

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従来、仏花はお彼岸にしか売れなかったし、プリザーブドフラワーはブーケなどの飾りにしか使われなかった。それを「供養」と「手間がいらない」を掛け合わせ、新たな花の用途を創り出したのだ。

「他社の花屋500店舗くらいがすでにやってる売り出し方を全部書き出して、誰もやってないことを探したわけ。例えば、“ペットの誕生日や命日に花を贈ろう”とかね」

縁起がいい、だるまとお花

また、「セット売り」も野口さんのアイデア商品だ。

群馬県高崎市の特産品である高崎だるまと花をセットにして、開店祝いに贈るスタンド花にすると「縁起がいい!」と評判を呼び、大ヒットした。

高崎だるまをつけたスタンド花は大ヒット。ピンクのだるまやバルーンの可愛いアレンジが好評(写真:週刊女性PRIME)

入社して5年目には、取締役に昇進。野口さんは、上司としても頼りにされている。

10年以上、営業を担当していた田所節子さんは、器の大きさに太鼓判を押す。

「仕事の細かなことには口出ししないで任せてくれます。でも、お客様からクレームが来たときなど、何かあったときは頼れる人です。スタッフの意見や不満があればしっかり話を聞いてくれるので、なんでも言えるんです。彼女について困ること? ……うーん、多忙すぎて、スタッフが、野口さんがつかまらないんですが、どこにいるんですか?って騒ぐことがあるくらいかな

子どものころから、3つ年下と4つ年下の妹たちや、その友達の面倒をみていた。野口家の自宅近所には団地があり、子どもたちが大勢住んでいたからだ。姉妹もその仲間に交じって遊んでいたが、野口さんは子どもたちの見守り役だったという。公園に遊びに行っては、10数人の子どもを束ねるような親分肌だった。末の妹の亜紀子さんにとっては母親代わりでもあった。

「テレビを見ていると、早くお風呂に入りなさいとか、靴はそろえなさいと指導されました。母に言われた記憶はなく、姉にしつけられました」

3姉妹の長女として、妹の世話役はもちろん、近所の子どもたちをも束ねるたくましさがあったという(写真:週刊女性PRIME)

すぐ下の妹、恵さんは、今も姉を頼りにしている。

「姉はなにを聞いても“えーっ!?”って言わないんです。面倒くさそうなことでも、なんとかしてやれるようにしようと、解決策を考えてくる。私の息子が劇団の舞台に立つことになったとき、家から通うのが大変だと何げなく言っただけで“じゃあ、うちに泊まらせればいいじゃない”って言って送り迎えまでやってくれたり。なにを言っても断らないんです」

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