追い込まれる巨大マスコミの構造問題 業績が軒並み急悪化!

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テレビ、新聞の周辺は、どうにも暗い話ばかり。では、未来は漆黒の暗闇なのだろうか。

実はそうではない。特にテレビ周辺は新規ビジネスの宝庫だ。米国では昨年、FCC(連邦通信委員会)が、地上デジタル化によって空く700メガヘルツ帯の競売を実施。売却総額は196億ドルに上った。このうち全米をカバーする周波数帯は大手通信会社のベライゾンが落札。この周波数帯でグーグルなどが高速無線サービスを行う見通しだ。

日本でも、地上デジタル化後に空く電波の再割り当てが計画されている。テレビ局が直接関係する分野だけでも、VHF帯(90~222メガヘルツ)の一部を活用するマルチメディア放送がある。テレビ局は積極的にこうした新しいビジネスに取り組んでいくべきだろう。

求められるコンテンツ供給者への転換

デジタル化は現行のビジネスを大きく変えるチャンスでもある。デジタル化により、2~3番組のマルチ編成など、多彩な放送サービス提供が可能になった。「たとえばテレ朝がマルチ編成を利用して大阪の朝日放送制作の番組も見られるようにすれば、私のような東京在住の大阪人は飛びつく。なのにまったく動こうとしない」と総務省担当者はため息をつく。「視聴率を基に広告の価格を決める今の仕組みがあるかぎり、マルチ編成は無理。拡散して視聴率が下がってしまうから」というテレビ局側の発想はいかにも守旧的といえないだろうか。新聞も同じことだ。取材結果を紙だけでなく、ネット、データ放送、携帯電話などに提供する「コンテンツプロバイダー」への転換を模索するべきだろう。

ただしネット広告で稼ぐモデルは、ヤフー独り勝ちの構図の中では難しい。そこがジレンマではある。が、ネットを遠ざければ従来モデルの延命が図れるわけではない。悩ましいことだが、新しい環境に合わせた構造改革を行わないかぎり、未来の展望は開けないのである。

(週刊東洋経済2009年1月28日号)

週刊東洋経済編集部
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