演奏にしたって、劇にしたって、わくわくするような高揚感があるでしょう。地域の催しを演者と観客が一体となって盛り上げるために、私がトップセールスをする必要があると思うのです。「草の根」とも言えますが、これがとても大事なのです。
――区長が文化と言うとき、どんなジャンルを想定していますか?
文化といっても、演劇や音楽だけに限りません。雑多な文化を取り入れていく方針です。ラーメン屋が増えてもいい、居酒屋が増えてもいい、それらもひとつの文化ですよ。「人が集まり、楽しめるのが文化」だと思っています。
外から来た人が池袋にどれだけ長い間滞在してくれるか。このことを、つねに考えています。コンサートや演劇で街に活気が出るだけでなく、しゃれた喫茶店やおいしいものを食べて和めるような場所があって、そのような余韻が街の中に漂っていてほしいと願っています。
文化は必需品じゃないけれども、人間らしさを育むものなので、なくてはならないもの。文化が起こるところには、にぎわいがあり、にぎわいのないところには文化は育たないでしょう。
23区初の「通年開庁」スタイル
――ところで、豊島区は新庁舎へ移転する2015年春から、「区役所を土日も休まずに開庁する」そうですね。区長は古書店の店主などの経歴をお持ちですので、「年中無休」といった小売店のような発想が出てきたのでしょうか。
ええ、私の底辺には「商人根性」があります。古書店の初代であった親父からは、「商人はサービスがすべて。『あのお店は今日開業してるのかな。休みじゃないかな』とお客さまにあれこれと考えさせることは、サービスの根本に欠けている」と、諭されてきました。
そこで新庁舎は土日も普段と同じように、朝9時から夕方5時まで開けます。また、新しい庁舎の最大の“売り”が「通年開庁」。休みは、年末年始と祝日だけです。
現在、毎週土日に開庁している自治体は、都内23区ですでに2区ありますが、実施業務は証明・届け出関係など10業務程度に限定されています。これに対して、豊島区は最大160業務を対象に検討しています。平日取り扱い業務の70~80%をカバーしようとしています。
同時に、窓口の仕組みも変えます。総合窓口を新設し、そこに最新システムを導入。さまざまな手続きがワンストップで提供できるようになるので、区民は複数の窓口を回る必要がなくなります。
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