「年を重ねれば重ねるほどに、その相手との間に信頼関係が築けていないと恋愛感情を抱きにくくなるんですよ。じゃあ、その信頼関係はどうしたら築けるかというと、お相手とたくさんお会いして、お人柄に触れていくしかない」
お見合いで、人を好きになれないと思っている人たちは、ありさのように交際に入っても、なかなか会おうとはせずに2週間、3週間と時間が空いてしまう人たちだ。一緒にいる時間を多く共有できなければ、人柄を知ることはできないし、そこには信頼関係も生まれない。
「メールのやり取りももちろん大事なんですよ。ただメールは、情報や約束事を端的に伝えるには適しているけれど、感情の機微を伝えるには向いていない。思いをつらつらと書かれた長いメールが来ると、それだけで重圧感があるし、メールで伝えることは一方通行だから、ときにはうんざりすることもある」
相手と感情の機微をやり取りするには、会ってたくさんの会話を交わすしかないのだ。
「できることなら週の水曜日とか木曜日に軽くご飯を食べて、週末にも会うという週2ペースがいいんです。でも、仕事の終わる時間帯が合わなかったり、住んでいる家と家との距離があったりすると、週2ペースで会うのは厳しい。それなら、最低でも週1ペースでは会う。
会っていくうちに信頼関係が築けると、そこから好きのスイッチが入っていくんですよ。そういう意味では、遠地に住んいでるカップルよりも、仕事場が近かったり、家が近かったりして会いやすいカップルのほうが、成婚しやすいんです」
また、男女には理屈では片付けられない相性があるし、生理的に受け付けるかどうかの問題もある。婚活で言う“飲食3回の壁”が超えられずに、食事を1度か2度して交際が終わってしまうカップルは、会話がかみ合わなかったり、相手から受ける雰囲気に居心地の悪さを感じたり、異性としては受け付けられない何かを感じたのだろう。
その答えを早めに出すためにも、お見合いから交際に入ったら、時間を空けずに会っていき、相性を確かめたほうがいい。
面倒くさい人だけど、それを越える「好き」がある
ありさとまったく同じことを言っていた、38歳の会員女性がいた。彼女は、国立大卒のバリキャリで、どうしても恋愛を頭で考えてしまうようなところがあった。私のところに来て、1年半くらいお見合いを繰り返していたが、「お見合いしても、好きになれる相手にめぐり会えない。そもそも私は、人を好きになるのでしょうか?もう何年も恋愛をしていないので、人を好きになる感情を忘れてしまいました」と言っていた。
昨年の後半は、明らかに婚活疲れを起こしていたのだが、昨年末にお見合いをした男性と今、真剣交際に入り成婚目前だ。真剣交際に入ったのも、1年半活動していた中で、彼が初めてのことだった。
昨年、婚活疲れを起こしていた彼女に、私がこんなことを言ったことがある。
「婚活をするというのはね、婚活市場に自分を棚卸しすることなのよ。たくさんの商品が陳列されている中で、手に取ってもらえた。ご縁があって出会った方がすてきな人だったら、今度は自分がお相手から選んでもらえる努力をしなければ、努力をしている人たちに負けてしまう。棚に戻されてしまうのよ」
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