日本企業が「知財」の意味を再考すべき理由 データ集積・分析は「経営資産」になりうる
世界という視点で知財を見ると、昨年から世界経済を揺るがせている米中貿易戦争も、知財の取り扱いがその大きな理由となっています。
中国や欧州の知財ルールを理解し、行動することも重要
中国は、広大な国土に14億人もの人口を抱えているため、国内だけで大量のデータを取得することができます。日米欧に立ち後れている分を巻き返すために、そのデータを自国だけで使いたい、と考えるのは当然のことと言えます。そのため、中国は特に産業データの規制が厳しくなっています。
一方で、歴史的に個人の権利を尊重する傾向が強いヨーロッパでは、すでに個人情報の取り扱いに規制が設けられています。例えばEU加盟国でもらった名刺のデータは、EU外に持ち出すことができません(日本はEUと特例を交わしているため、実際には規制の対象にはなりません)。
これらの規制は、国の争いだけではなく、企業や個人の活動に影響を与えます。特定の職種や立場に限定されることなく、すべての従業員の活動に影響を与えると言っても過言ではありません。
しかし、各国ごとのルールを理解し、適切に行動していくことは、従業員一人ひとりの努力だけでできることではありません。だからこそ、まずは経営者が知財をめぐる最新状況を認識することが不可欠です。そのうえで、従業員の意識改革も含めた、自社の知財への取り組み方を考える必要があるでしょう。
知財に関する書籍は、法律的な解説を中心とするものが多く、読んでいてあまり楽しい内容ではないかもしれません。そこで本書では、知財をいかに使うかという観点から、実例を紹介し、実務にすぐに活かせるような内容にするようにしました。世界の最新の情報を盛り込んだ本として、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
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