結婚23年、46歳で別れた妻が呆れた夫の超怠惰 仕事も探さずゲーム三昧、あげく狂言自殺も

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タイムリミットは迫っていた。玲子さんは、その当時、大きな仕事を抱えており、それが終わったら、仕事が急激に減ることがわかっていた。そのため、浩二さんに絶対仕事を見つけてほしいと口を酸っぱくして言っていた。

離婚のきっかけは車のあおり運転

その矢先に、ある事件が起こった。

浩二さんの運転は普段から荒くて、玲子さんは以前からハラハラしていた。怖くて、悲鳴を上げてしまうほどにスピードを出し、ターゲットを見つけては、あおり運転を繰り返すのだ。浩二さんの運転でショッピングに出かけた際、あおり運転をした揚げ句、わざと急加速をつけて、他の車と危機一髪でぶつかりそうになった。玲子さんは心臓が止まるかと思った。

玲子さんが「なんでこんな運転するの!?」と問いただすと、「ここは突っ込まないといけないところやん! じゃないと相手にナメられる」と浩二さんは食い下がった。

「あなたの運転する車には怖くて乗れない、歩いて帰る」

そう告げると、浩二さんは突然「死んでやる!!」と絶叫して、車を発進させた。

「その後、私のスマホに、『今から車でガス自殺をする。今、ホースでガスを車の中に入れている。喉がガラガラしてきた』とメッセージが入ったんです。びっくりして、命に関わると思って、すぐに警察に通報しました。警察のIT捜査班に動いてもらって、GPSで場所を特定して何とか橋の欄干のところにいるのを確保してもらったんです。

後で車を調べたら、車やホースに臭いが残っていなかった。翌日、夫を精神科病院に連れていったら『こいつが大げさなんです』とお医者さんに言ったんです。だから自殺は狂言だったのではないかと思いました。

死ぬ死ぬ詐欺ですよね。あのときは本当にいろいろな人に迷惑をかけて、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。夫は究極の構ってちゃんだったんです」

結局、浩二さんは自殺の恐れありとして、そのまま措置入院となり、その後、離婚が成立。しかし、浩二さんに医師から病名がつくことは最後までなかった。

「今思うと、よっぽど働きたくなかったんだと思います。それしかあんな事件を引き起こす整合性が取れないんです。本当に自己中野郎だったと思いますよ。離婚できてよかったです」

現在、玲子さんは仕事を続けながら、娘と2人で幸せに暮らしている。

菅野 久美子 ノンフィクション作家

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かんの・くみこ / Kumiko Kanno

1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。出版社で編集者を経て、2005年よりフリーライターに。単著に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)、『孤独死大国』(双葉社)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(KADOKAWA)『母を捨てる』(プレジデント社)など。

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