富士フイルム、「写真銀行」でグーグル超えるか 画像データで料理や旅行、趣味も分析可能に
松崎氏は「写真という画像データの正確性が最大の強みで、(アマゾンやグーグルと)差別化できる」と強気だ。閲覧履歴や購入履歴ではユーザーの属性を推測することはできても、実際にその推測が正しいと確定することは難しい。一方、写真はユーザーの姿や家族が写っている。年齢や性別、家族構成などをネット上の履歴などによる推測より正確に把握でき、写っている場面や状況などから各ユーザーの好みも解析しやすいという。
「旅行やグルメ、ファッション、インテリア、イベントなど、画像データだからこそ正確に分析できる領域は多い」(松崎氏)。どんな場所に行くことが多いのか。どんな料理を食べていることが多いのか。どんな服を着ていることが多いのか。視覚的情報が含まれる写真だからこそ可能となる解析領域がある。フォトバンクと相性の良い業界は旅行や外食などと想定し、実際にアプローチを始めている。
プライバシー保護に懸念の声
懸念の声もある。プライバシーなど個人情報に関わる問題だ。フォトバンクは2月に横浜で開催されたカメラ関連機器の展示会「CP+(シーピープラス)」でも紹介された。その説明を聞いた30代の女性は「一歩間違えると大事な思い出が悪用されるのでは」と不安がる。
松崎氏は「あくまで富士フイルムのAIが写真の解析を行い、そのユーザーがほしいと考えていると思われる商品やサービスをフォトバンクとして提案するだけ」という。写真に関するデータを直接企業に提供するわけではなく、フォトバンク内でのみ利用されるので問題ないとの見方だ。むしろ「写真を通じて新たな自分を探してほしい」とフォトバンクの意義を語る。
写真はこれまで、過去を振り返るために保存することが主な用途だった。フォトバンクでは保存された写真から過去の出来事を解析してもらい、次に何をしたいかを予測してもらうことで各ユーザーが本当に求めていたサービスや商品を手にする機会を得られるようにしたいという。「フォト『バンク』という名のように、写真を資産として活用して豊かな将来につなげてほしい」(松崎氏)。
保存する写真は、フォトバンク内でユーザーがタグ付けや日付などの情報を編集して登録できるため、個人情報を管理できるという。2020年に予定するマーケットプレイスの開設まで、実際にどのように運用するかは「十分に検討を重ねる」(松崎氏)とする。
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