世界経済を大転換させる「3つの構造変化」 玉木林太郎・元財務官に世界経済情勢を聞く
――アメリカでは来年、大統領選がありますが、前回に続いて民主党の候補指名を目指しているサンダース氏ら革新派の勢力は一段と拡大するでしょうか。
大統領選で勝てるか、わからない。彼らが1つにまとまってシンボリックな大統領候補を生むことができるかどうかだろう。来年は難しいにしても、5年後、9年後の選挙では現実のものになるかもしれない。
彼らは左派といっても、会社というシステムを否定しているわけではなく、会社のあり方を見直す必要があると言っている(最低賃金の引き上げなど)。また、落ちこぼれた人々が医療を受けられないシステムでいいのかと国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」を主張する。つまり社会思想の問題だ。テクノロジーも気候変動も、それ自体が新たな格差を生みつつある中、そうした社会思想は今後ますます重要なテーマとなってくるだろう。
「負け組」企業がはっきりしつつある
――再び史上最高値圏にあるアメリカの株式市場を見ても、企業間の格差が目立ちます。
上場企業の観点から見ても、「負け組」が明らかになっている。例えば、石油株や自動車産業株は平均以下のパフォーマンスだ。構造変化の動きは株価にも反映している。負け組が腕組みをして何もしなければ、会社は潰れてしまう。
――デジタル化の中でGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など巨大ネット企業が勝ち組となっていますが、個人情報保護やデジタル課税の流れなど先行き不安も強まっています。
当然、GAFAにも不安はある。欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)のような規制強化に対して、アメリカでは抵抗があるものの、将来的に個人情報に対してどのような姿勢で臨むのか、アメリカ自身もまだ答えが出ていない。
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