「中国発AI」で、通訳も速記も、もう必要ない ファーウェイやBATを超える、ものすごい企業
会議で議事録を取る必要はなし。外国企業との商談も通訳いらず――。
そんな夢のような世界を、中国屈指の音声認識AI(人工知能)企業である、アイフライテックがすでに実現している。
同社が開発した「智能会議系統(スマート会議システム)」は、会議中の発言をAIで認識し、自動で文字に変換してスクリーンに映し出す。音声認識の正確性は中国語で97%、英語で95%と、プロの速記者をも上回る高さだ。声紋を分析して話者を識別できるのはもちろんのこと、中国語と英語だけでなく日本語や韓国語にも対応し、リアルタイムでスクリーンに対訳を表示する機能を併せ持つ。中国語では、会議の要点を短くまとめた要約すら、自動で作成可能だという。
人間のような声を人工的に生み出す音声合成の技術も発達している。その名も「AIカスタマーサービスロボット」。中国火鍋チェーン大手で日本にも店舗を持つ、海底撈(ハイディラオ)などの外食企業で活用されている。予約を取るため店舗に電話してきた客と、まるで人間同然のスムーズさでやりとりができる。研究部門のトップを務める李世鵬・アイフライテック副社長は、「電話の相手が人間かロボットかを判別するのは難しい(くらいの自然さ)」と豪語する。
アマゾンやグーグルに次ぐ、中国トップの破壊力
元々アイフライテックは1999年設立の学生ベンチャーだった。
そのミッションは「コンピュータに聞き、話し、理解し、考えさせる」「AIでよりよい世界をつくる」ことである。音声認識と音声合成技術の高さを武器に、AI大国を目指す中国政府からの支援も受けながら急成長し、2008年に上場。2017年版の『MITテクノロジーレビュー』によると、革新的な技術と効果的なビジネスモデルを組み合わせた「スマート・カンパニー50」で、アメリカのアマゾンや、グーグルの親会社アルファベットに次ぐ、世界第6位に選ばれた。中国勢としては巨大IT企業であるBAT(バイドゥ、アリババグループ、テンセント)を抑えてトップだ。
今や1万人以上の従業員を抱えており、時価総額も1兆円を超える大企業となった。4月19日に発表された2018年度の業績は、売上高約1300億円(前期比45%増)、純利益約90億円(同24%増)ときわめて好調だ。
こうした最先端の企業を含め、『会社四季報 業界地図』(東洋経済新報社)では、自動車・商社・ITなど166業界を網羅。主要な業界プレーヤーやその関係性を図解している。トップページを飾るのはAI業界で、中国企業ではBATの3社を掲載中だ。今後はアイフライテックのような新興企業にも注目していく。
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