"和製LCC"ピーチが成功したこれだけの理由 井上CEOが語る、格安航空の必要条件
でも、何よりも重要なのは「ちゃんと飛ぶ」という基本品質です。ピーチの就航率は2013年4~9月で99.8%と、日本一となりました。
LCCといえば、キャンペーンなどでの極端に安い運賃や、機内のパフォーマンスなどが強調されることがありますが、予定どおりに就航するのは非常に大事なポイントです。
実はお客様はこのことをよく知っています。特にインターネットの利用に長けた若い世代。たとえば、わざわざ深夜バスなどを使って関空に来て、ピーチで沖縄に飛んだという首都圏の学生さんもいます。
彼らに話を聞いたのですが、「成田から飛んでいるLCCはよく欠航している。なけなしのおカネで旅行に行くのに、キャンセルになったら困るのでピーチを選んだ」と。そんな学生さんは1人2人ではありません。いくつものグループが同じような話をしてくれました。こうした評判が、直接的な口コミやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで広がっていくのでしょう。ちゃんと飛ぶというのは、普遍的な価値なんです。
目指したのは「空飛ぶ電車」
――後発のピーチがJAL(日本航空)やANA(全日本空輸)といった大手航空会社を差し置いて、就航率99.8%で日本一になったとは驚異的です。
志の高いプロの社員が集まり、同じ価値観を共有していることが大きいです。私たちは航空会社ですが、「空飛ぶ電車」のサービスモデルを志向しています。このビジネスモデルが「おもろい」(「面白い」の関西弁)から、優れた人材が集まってきてくれていると思います。
ピーチ・アビエーションという社名には、(航空会社の多くが冠している)「エア」とか「ジェット」などを付けていませんが、これは単なる航空会社にとどまらないという意気込みを示していて、極めてチャレンジングな試みが各部門で必要になってきています。だから、上司の指示を待つような人は(ピーチの社風に)まったく合わないと思います。
――「空飛ぶ電車」のサービスモデルとは?
チケットはお客様に自ら手配していただいて、駅の改札を通るようにご自身でチェックインしていただく。その代わり、弊社が開発したマシンは世界最速級の速さでチェックインを完了できます。また、新幹線のワゴンサービスのように、機内の飲食物は有料で提供しています。定刻になれば無慈悲に出発します。