「実家の親」を苦痛でしんどく感じる本当の理由

ポジティブな関わり方ができない人たちへ

ところが、かつてはそのような人たちのほうが、頼もしいという評価を受けたり、強いと持ち上げられたりしてきました。家庭の中にあっては、「心が通じ合わない」人だったのですが、昔はそれが偉い、強い、立派というふうに評価されていたのです。少なくとも彼らの親たちはそうだったでしょう。娘、息子にとっては祖父母にあたる人たちです。

彼らはそんな親たちのやり方から抜け出すことができないでいるのかもしれません。しかし、昔はそれが通用したとしても、そんな時代錯誤的な方法で、自分の子どもたちの尊敬を得ることはできません。

「せめてわが子だけは自由に」のワナ

そのようにして親に染みついた言動パターンは、さまざまな形で表出します。しかも、一見、そうとわからない形でです。代表的なものが、「私の望みを、あなたが叶えてね」というもの。多くの親が「わが子だけには、私のような苦労をさせたくない」と思っています。

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せめて子どもだけは「自由に生きてほしい。生き生きと輝いた人生を送ってほしい。自分の好きなことをやってほしい」などと願います。言葉だけ見ると、とても子どもを大事にしているように思えます。

しかし実際には、その「願い」そのものが子どもの心の自由を奪っています。「私は我慢してばかりいたから、子どもには思いどおりの人生を生きてほしい」「学校で成績が悪くて引け目を感じていたから、子どもには優秀でいてほしい」「出身校に劣等感を抱いていたから、わが子には、そんな思いをしてほしくない」といった、自分が果たしえなかった理想を、子どもに押しつけて、「私の望みを、あなたが叶えてね」と言っているのです。

その目的がどんなに立派でも、子どもに選択の余地を与えないのは、子どもの自由の侵害です。しかも子ども自身がそれに気づかなければ、親の期待にこたえられない自分を、不孝者のように感じるでしょう。親の思いに反して、自分の意志を大事にしようとすると、親を裏切るような気持ちに襲われるでしょう。子どもが自分らしく生きようとすることは至極真っ当なことなのに、まるで悪いことをしているかのように罪悪感を覚えて自分を責めるのです。

とくに母娘の問題で言うと、母親がそうやって子どもに自分の願いや理想を押しつけようとするのは、母親自身が諸々の制約で自分の心を縛っているからです。母親がどんなに、「子どもには苦労させたくない。自分の理想どおりの子どもになってほしい。自分の好きなことをしてほしい」と願ったとしても、やっていることは、「自分の心を縛る」方法を教えているにすぎません。しかし、それは、親自身もまた長年「従う」ことを行ってきたからでもあります。

このように親子関係というのは、社会的な環境と密接に根づいたものがあります。ゆえに、非常に根深いものではありますが、こうした全体像を知ることは、実は「親だけが悪いわけではない」という親への理解にもつながっていくことを、ぜひ知っていただきたいと思います。

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