マドリードがブチ上げた「民泊規制」がスゴい

マンション住民からの苦情殺到を受けて

また、観光客向けマンションへの転換を図るために、不動産業者がマンションを買収する例も後を絶たない。マンションを「空」にするために、マンションの家賃を不当に値上げて事実上、住民を追い出すといったことも起きており、中には前年比17%も引き上げたケースもあるという。

こうした中、マンションの部屋を貸し出すという形の民泊は結局のところ、マンション所有者や不動産業者だけに経済的メリットがあり、観光産業そのものの発展にはつながらない、というのが観光業関係者での共通した見方となっている。

観光客向けマンションの95%が消滅?

そこで、この問題に対する解決策を打ち出したのが、4年前にマドリード市長に就任した元判事のマヌエラ・カルメナ(75)氏である。同氏が率いる市議会は、3月26日、マドリード市内に1万軒以上あるとされている観光客相手のマンスリーマンションのレンタルを規制することを可決したのだ。

とくに規制の標的となったのが、中心街にあるマンションで、今回市議会はこのエリアにあるマンションを3つのブロックに分けて、ブロックごとに規制内容を変えた。共通しているのは、マンションを観光客にレンタルするビジネスをするには、住民用とは別に観光客向けの専用出入り口を設置するということだ。

例えば、最も中心外に位置するブロック1と2の場合、仮にビルの4階を観光客向けに貸し出すには、階下の住民に迷惑がかからないように、観光客が出入りできる専用出入り口が必要というわけだ。ブロック3の場合は、4階の住民にだけ迷惑がかからない規制となっている。

スペインの大半のマンションの1階は、ガレージかテナントになっているので、1階に住民が住んでいるというケースは少ない。2階から上に住む人に迷惑がかからないような専用出入り口を設置せよ、というわけだが、それにはリフォームが必要となってくるわけで、それが容易ではないマンションは少なくない。それこそが、マドリード市の狙いなので、同市はこの規制を通じて観光客向けのマンションの95%を減らそうとしている。

さらに、年間90日以上貸し出す場合、営業許可書の取得が必要になる。許可書は単にそれを申請すれば取得できるというのではなく、同じく建物の住民の迷惑にならないように前述したようにリフォームをせねばならなくなるような条件がついている。目下、スペインでは闇サイトを通じて安価で部屋をレンタルするビジネスが問題となっているが、許可書制にすればこうしたビジネスも撲滅できるとみている。

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