マドリードがブチ上げた「民泊規制」がスゴい マンション住民からの苦情殺到を受けて
外国からの年間訪問者数が8000万人を越えて、世界2位に位置しているスペイン。2012年までは訪問客数は5000万人にとどまっていたが、それ以後訪問客数は増加の一途をたどっている。
こうした中、問題となっているのが、外国人観光客による迷惑行為だ。スペインに手頃な価格で滞在するために、観光客相手の安価なマンスリーマンションを利用している人が多いことがその一因だ。
「地区の質落ちた」住民から苦情が殺到
いわゆる「民泊」だが、マンション所有者にとっては収入につながるほか、観光客需要が高いこともあって不動産業者がマンションそのものを買い取って民泊用のマンションに転換させる例も増えている。とくに外国人観光客の多いマドリードやバルセロナではその傾向が顕著で、これが深刻な「観光公害」につながっているようだ。
とりわけ、外国人が滞在するマンションの住民にとっては深刻な問題だ。スペインには、それぞれのマンションに日本でいう理事会に相当する「住民の会」があり、エレベーターなど共有部の設備投資を住民負担で行っている。こうした住民の会から、「住んでいる地区の質が落ちた」「マンションの騒音がひどい」「共用部の清掃が大変」「玄関やエレベーターの傷みが激しくなった」という苦情が殺到しているという。
マドリード市の調査によると、同市中心街の外国人観光客向けマンションに滞在した人の数は、2012年に1万656人だったのが、2016年には21万6341人と20倍に膨らんでいる。同調査によると、2016年の1人あたりのマンション宿泊料金は1泊27ユーロ(3500円)。中心街のホステルだと1泊80ユーロ程度なので、こうしたマンションがいかに安いかわかる。
こうした中、3月27日付のエル・パイス紙によると、マドリード市内の中心地、プエルタ・デル・ソル周辺のマンションでは、滞在者の半数が外国人観光客になっているという。
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