AAA浦田直也の泥酔逮捕が他人事ではない理由 会見に非難殺到、酒で暴力を振るう人のリスク

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想定問答があったかはわかりませんが、関係者や弁護士から「隠そうとせず、正直に話したほうがいい」という謝罪会見のセオリーを教えられていたことは想像に難くありません。しかし、「正直に答える」「わからないことは『わからない』と言う」のは当然として、ここまで流暢に話してしまうと「反省していない」と思われてしまいがちです。

謝罪会見では、「こう話そう」と決めていたことでも、「質問の内容を受け止めるように耳を傾けたうえで、一語一語かみしめながら話し始める」のが基本。相手に聞いてもらうのと同時に、自分にも言い聞かせているように見せなければいけないのです。

その点、浦田さんは流暢に話しすぎたことで、謝罪の気持ちが抜け落ちているように見えてしまいました。見る側に「お酒のせいにしている」「『自分はそういう人間ではない』と言いたいのだろう」と思われてしまっては、わざわざ謝罪会見を開いた意味がありません。

「記憶にない」というフレーズはNG

さらに見逃せないのは、謝罪会見におけるNGフレーズを連呼してしまったこと。先述した通り、謝罪会見のセオリーは正直に話すことですが、「記憶にない」というフレーズだけはNGなのです。特に今回は被害者がいるだけに、他人事で責任逃れのようなこのフレーズは避けるべきであり、「私が未熟だった」「私の自覚が足りなかった」などの私を主語にした反省の言葉に置き換えるべきでした。

浦田さんの事件が発覚して以降、「以前から酒癖が悪かった」などの悪評が飛び交っています。真偽はわかりませんが、こうした悪評が後付けのようにあがり、ネット上で拡散してしまうのが現代社会の怖いところであり、ビジネスパーソンにとっても他人事ではないでしょう。お酒による失敗をきっかけに社内や業界内で悪評が広がると簡単には消せないので、未然に防いでいきたいところです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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