年収1億円「中華系販売員」が実践する超スゴ技

日本人と真逆発想でお金持ちの心を鷲づかみ

そんな素早いアポ取りと同じくらい、私がシンガポールで面食らったことがあります。どんなサービスでも、最初の提示金額が異様なほど大きいのです。

エステサロンで「100万円」のパッケージから提案されたことがありました。整形手術を頼んでいるわけでもないのに……。「そんなに支払えないわよ!」とやや強く言うと、「半額ではどうか」とドカンと下げてきます。結局、4分の1の金額まで下がったところで手を打ちましたが、不思議なことに「このエステ、お得な買い物だったわ」と思ってしまいました。一種の錯覚といえるかもしれませんが、こういう商談の仕方がシンガポールでは少なくありません。最初は顧客の支払い能力を大きく超える提案をする。そこから徐々に下げていって、顧客が「得をした」と感じる上限金額で着地させるわけです。

金融商品のセールスも、まず「老後に欲しい金額」を聞き出します。すると、顧客はたいてい身の丈を超えた金額を言ってしまいます。その大きな金額から商談を始めるのです。顧客に「毎月無理なく支払える金額」とか「今の予算」などを聞くことはしません。億単位を稼ぐ中華系セールスたちは「希望額」を聞くのです(しっかりしたプロフェッショナルなので、詐欺まがいのことをしているわけではありません)。

翻って、いまだデフレに苦しむ日本ではどうでしょうか。もちろんすべてを一概に同じように論じることはできませんが「マッサージ15分で1000円!」などと、「最安価格」をデカデカとアピールしているサービス業者があまりに多いと思いませんか? 日本はシンガポールと比べて20倍以上の人口がいるので、安くてもたくさんの人に利用してもらえればペイするのでしょうが、最初からあまりにも安い価格設定をするのは芸がないと感じます。それ以上下げることができない価格を打ち出してしまうと、顧客との間で値切り交渉をしつつ「おトク感」を与える「技」は繰り出せないからです。

顧客にごちそうするときは「値の張らない食事」が定番

億単位を稼ぎ出すシンガポールの中華系セールスは、営業の「GNP」も忠実に守っています。「義理(G)」「人情(N)」「プレゼント(P)」の略ですね。日本でも昔から生保レディはGNPセールスをしていますが、こちらの優秀なセールスのGNPは、さらに半端ないと感じます。もともと中華系の人々は、お土産などを家族や友人から、ちょっとした知り合いにまで、大々的に振る舞う文化がありますが、それを顧客向けにも応用して、心をつかんでしまうのです。

時には「お土産があるわよ」と、セールスのほうが顧客を呼び出すこともあります。私も「ハンパー(ふた付きのバスケット)にお土産を包んだから、ぜひ取りに来てくださいね」と言われ、お店に呼び出されたことがありました。品物は、乾物ばかりだったのですが……。私がそのお店のことを忘れそうになっていた頃に、お土産を口実にさり気なく連絡する「技」なのでしょう。なかなかうまいと感じました。

お土産のほか、顧客の心をつかむために食事も振る舞います。この場合、「値の張らない店」を慎重に選んだうえで、ごちそうするのがポイントのようです。なぜなら、「お客様は商談を兼ねた食事の席になると目一杯食べるからね」と、不動産のトップセールスが話していました。タダ飯は誰でもたくさん食べる、ということです。

次ページ渋る顧客には、どのように話をするのか?
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