敵を友人に変える「ニューロハックス」の威力

UCLA医学部教授が教える「脳をだます」技術

「これまでのビジネスは全部失敗してきた。次もダメだろう。自分はどんな商売をしても失敗する」という自己認識を抱いていると、本当に将来的に失敗しやすくなる。自己啓発書を読み、“自分は失敗しない”と言い聞かせるだけでは、このネガティブな思考パターンからは抜け出しにくい。新しいビジネスを始めても、経営が厳しくなった途端、自動的に過去の失敗を思い出してしまうからだ。

ニューロハックスでは、心を変えようとするのではなく、まず行動から始める。行動によって心をリセットし、“私はいつも失敗してばかりだ”という自己イメージを変えていくのだ。

例えば、“親切な人になりたい”と頭で考えるのではなく、困っている人を実際に助けてみる。そうすることで、親切な人になれる。そこでつくられた自己認識によって、親切な人であり続けることは簡単になる。

これがニューロハックスの基本的な考えだ。これは心をリセットするための簡単な心理的トリックだ。それまではできなかった方法で自分自身を捉えられるようになり、それまではできなかったことを続けられるようになる。これは自分にも他人にも使える。

行動を振り返ることで、心をリセットする

ニューロハックスは、自分に対してだけではなく、他人にも使える。相手に過去の行動を振り返らせ、それまでとは違った視点を持たせることで、以前はできなかったことをできるよう仕向けられるのだ。

例えば、ニューロハックスによって、「自分は高級品を使う人間だ」という自己イメージを抱かされた人は、そのイメージを保つために「プレミアムサービス」のような高額な製品を買い続けるようになる。

ニューロハックスは、次の2つの心理的プロセスによって人の行動を継続させる。

①人は、誰かに強いられることなく自ら選択して何かをしているとき、それを重要な行動だとみなす。
②人は、過去の行動を振り返ることで自らのアイデンティティを形成する(自己イメージの一部となった行動を続けようとする)。
次ページニューロハックスを用いたベンジャミン・フランクリンの話
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