30代主婦は「扶養内パート」で生涯1億円損する 「妻は家を守る」にこだわると老後は暗い
ただし、ほぼ専業主婦として過ごしてこられた奥様ですから、職場復帰してフルタイム勤務になれば、家庭にいる時間が減り、それでストレスを感じるかもしれません。毎日掃除機をかけられない、晴れた日にお布団が干せない、ご主人が帰宅する夕方から夜にかけて慌ただしい……。
筆者も、忙しい日々が続くと「お嫁さんが欲しい」と思ったりします。外で働き、帰ってきたときに部屋がきれいに掃除され、温かい食事も用意されている……こんなありがたいことはありません。でも、そうした役割は「妻」が担うべき、とは限らないと思います。便利な家電を使ったり、家事代行に任せたりもできます。費用はかかりますが、長い目で見た生涯収入と比べると、十分に利用価値はあるはずです。
夫の収入は「ガラス張り」、妻の収入は「伏魔殿」
今回のご夫婦にさらにヒアリングすると、ご主人の「自宅から自転車で通える範囲で働いてほしい」という要望を受け入れて、いま奥様は「自宅近くでパート勤務しています」とのことです。しかし、驚いたことに奥様は、ある資格を持っていて、それを生かして正社員で働くことができれば「年収500万円は見込める」というのです。しかも、自宅から通勤時間はかかるものの、採用してくれそうな会社もある、と。
もし、そうなった場合、ボーナスはないものの手取り月額は32万円と、現状の4倍になります。24年間で9216万円となり、生涯収入は大幅増。標準報酬月額41万円とすると厚生年金の上乗せ分も増え、老後の年金額は月12万円(年間147万円)、65歳からの25年間で3675万円。両方を合わせると1億2891万円となり、今のままの働き方に比べ、差し引きで8487万円も生涯に得る金額が増えます。
このようなことを書くと、しばしば「専業主婦は経済的な損失が大きいと言いたいのか!」と責められます。私は、決してそんなことを伝えたいわけではありません。家計を補うために働く必要があり、働く意思もある妻がいるならば、夫は「妻は家にいるべきだ」という古い(?)モデルを前提にした考え方を見直してみたらどうかと思うのです。なぜなら、妻が稼げる機会を得れば家計は助かりますし、今回のご夫婦のように、妻は今のパートを続けるだけだと、生涯収入1億円以上稼ぐチャンスをみすみす手放すことになりかねません。それはあまりにもったいないからです。
ただし、妻が収入を増やした場合、それは夫と同様に家計のものとして取り扱うこともお伝えしています。夫の収入は「ガラス張り」になっていて、お小遣い以外は自由度がない。その一方で妻の収入は「伏魔殿」で、妻が好き勝手に使える、という家計をよく見かけるからです。そんな不公平なお金の取り扱い方では、やっぱり夫のほうは「妻は家にいるべきだ、稼ぐ必要なし」と思っても仕方ないでしょう。
こうした点を踏まえたうえで、家計が赤字なのに「妻は家にいるべきだ」と主張する夫がいる場合、それで失う経済的損失が妥当かどうかを考えてみてはいかがでしょうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら