タモリというお笑いの巨人が持つ圧倒的な凄み 平成を駆け抜けた「いいとも!」の最後に見た
タモリはこれに反対した。目先の視聴率を意識しすぎると本来の視聴者を失うことになってしまう、と主張したのだ。だが、総合演出はタモリの意見に耳を貸さなかった。オネエ系のイケメンを紹介する「オネメンコンテスト」など主婦層向けのコーナーが始まった。
タモリはこれに納得せず、このコーナーのときには舞台から姿を消し、ボイコットをするようになった。MCであるタモリが番組の一部に出ないというのはそれまではありえないことだった。その後、タモリはしばしば番組中にいなくなることがあったのだが、これに関して番組内では何の説明もなかったため、視聴者の間でもさまざまな臆測が飛び交うようになっていた。
そんな状況の中で、タモリが自ら降板を申し出た。フジテレビ側は必死で引き止めたが、タモリの意志は固かった。最後は自分なりのやり方で番組の幕引きを図った。
終了発表から実際に終わるまでの半年間は、「いいとも」という歴史的な番組のウィニングランとでも言うべき期間だった。ほぼ通常どおりの内容ではあったが、「テレフォンショッキング」のゲストとして、普段は出ないような豪華な顔ぶれが見られたりした。
マツコ・デラックス、萩本欽一、ナインティナイン、所ジョージ、安倍晋三、木村拓哉、黒柳徹子などがこの時期に出演していた。中でも、現役の内閣総理大臣である安倍の出演は大きな話題になった。
2014年3月31日の最終回のゲストは、タモリと並ぶ「お笑いビッグ3」の1人であるビートたけしだった。たけしは、もともと「いいとも青年隊」として「いいとも」に出ていた羽賀研二が詐欺事件で逮捕されたことなどを盛り込んだ毒舌ネタ満載の表彰状を読み上げて、「いいとも」の最後を祝った。
とんねるずとダウンタウンが奇跡の共演
そして、最終回の昼の生放送は何事もなく終わった。タモリも普段どおり淡々と番組を締めくくっていた。というのも、この日の夜に放送された特番「笑っていいとも!グランドフィナーレ感謝の超特大号」こそが、実質的な最終回だったからだ。
「グランドフィナーレ」の冒頭では、タモリが長年ファンだと公言していた吉永小百合が、中継で初めて「いいとも」に登場。いつも冷静なタモリが珍しく本気で照れている姿が新鮮だった。番組の中盤では、お笑い界のレジェンド芸人が次々に出てきて、順番にタモリとトークをすることになっていた。
ところが、1組目に登場した明石家さんまが延々としゃべりまくり、次のゲストが出てくるタイミングがなかった。そこで、次に出るはずだったダウンタウンが、ウッチャンナンチャンを引き連れて飛び入りしてきたのである。
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