強すぎる安倍政権が「令和」に残した大きな課題

平成時代の経済は後にどう評価されるのか

安倍政権が、平成末期の今直面している2つの課題とは?(写真:Issei Kato/ロイター)
まもなく終わりを迎える「平成」。10年、20年後に、平成時代の経済や経済政策は、どのように総括されるのだろうか。後世から振り返ったとき、この時代が「厳しい状況のなかでも、歯を食いしばり何とか踏みとどまって、未来に希望をつないだ時代」として総括されるのか。それとも、「せっかくの改革のチャンスを何度もふいにし、日本経済の本格的な立ち上がりに失敗してしまった時代」として総括されるのか。平成という時代の教訓をいかにくみ取り、直近の未来にどう反映させるのか、近著『平成の教訓』より解説する。

日銀より政府や国会が批判されるべき

平成時代の不況の最大の要因は、デフレと人口減である、と私は見ている。近年、日銀は、長い間マイナスだった日本の物価を、なんとかゼロを上回るような水準にまで引き上げた。しかし、当初の目標だった上昇率2%まで届くメドは立っていない。

デフレは金融的な現象だから、その克服には金融緩和が必要なことは言うまでもない。具体的に日銀は、「買いオペ」(買いオペレーション)で長期国債、ETF(上場投資信託)やJ‐REIT(不動産投資信託)などを買い入れて、市中にマネーを増やすことが必要だ。そこで、黒田日銀は、最終的に国債買い入れ額を、80兆円まで増やして対応した。

しかし、国債発行残高には限りがあるから、毎年80兆円ずつ国債を買えば10年経たずに買うものがなくなってしまう。その時点までに日銀は、買いオペ政策を修正しなければならない。実はすでに静かなテーパリング(先細りの意味で「量的緩和の縮小」のこと)が行われており、日銀の国債買い入れ額は年に30兆円ほどに減少している。

一方、異次元の超金融緩和を長く続けた弊害も目立ってくる。政府が国債を出し、買った民間が右から左へと転売し、必ず日銀が買うというパターンの固定化で、マーケットの流動性は失われ、金融仲介機能が低下する。

人々は「どうせ誤差同然の金利しかつかない」と諦めて貯金するか、または値動きが大きい特定の株式やFX(外国為替証拠金取引)などを短期売買するサヤ取りに向かう。どの社債も低金利で代わり映えがしない。すると、会社の成長性を見込んで株を買う、利回りが高い社債をよく吟味して買うといった“健全な投資”が失われていく。また何より、利ざや縮小により、銀行の経営が悪化する。

こうした弊害はゼロ金利のせいということで、いま日銀批判が強まっているが、日銀よりは規制緩和が遅れている政府や国会を批判すべきだ、と私は思う。かつては政府が改革に苦心し、日銀は無責任だった。いまは日銀が金融政策に苦心し、政府の側により積極的な改革姿勢が求められている。

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