威風堂々の指導者たち 芳賀綏著
後に「経済は一流、政治は三流」などと揶揄されはしたが、敗戦から立ち直っていく日本に登場した政治家たちは三流どころではなかった。登場する5人のリーダーたちの思想と行動はどれも骨太で鮮やかである。これだけの自我と思想と志のある政治家が消えて久しいのはなぜなのか。
戦争に負けて外交で勝つ吉田茂、ご機嫌取りはしない石橋湛山、逆境に強い西尾末廣、世界の大勢に眼を開け、の芦田均、委員長は十字架である、の河上丈太郎。5人ともそれぞれに一本、太い筋が通っている。そして政治姿勢は右顧左眄(うこさべん)や迎合からはまるで遠い。
吉田や西尾など世論が作った勝手な偏見には丁寧に反論し、意外な人物像を掘り起こしつつ半世紀前の政治家たちの今日的意義が浮き彫りにされる。1行1行が凝縮し、豊富なエピソードに読みの深さが相まって、まことに興味深い人間ドラマが展開される。著者が永年かけて書き上げただけのことはある。(純)
清流出版 1890円
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