あのSKE48に買収価格「30億円」の価値はあるか 買ったKeyHolder社は乃木坂人脈も使う凄腕

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KeyHolderグループの下、新たなSKE社は”事業”としてのSKE48を、どう活用していこうというのか。その指揮を執る赤塚善洋社長は、実は業界では知る人ぞ知る、名うての仕掛け人だ。

作曲家やスポーツ選手のマネジメントを経験し、短いながら一時期、エイベックスに在籍したこともある。エンタメ寄りの広告代理店としてオルファスを立ち上げた(SKE社もオルファスも赤塚社長が兼任)。

そのオルファスで2015年に電通と共同で企画したのが、「セブン-イレブン×乃木坂46フェア」である。累計600万ダウンロードを突破した乃木坂46の公式ゲームアプリ「乃木恋」の制作・配信も手がけた。まさか、乃木坂46のキーマンがSKE社の社長に就くとは、双方のファンもびっくりしたに違いない。

総合エンタメを目指すKeyHolderグループは、必要に応じて、さらなる買収の可能性もにおわせており、その動向に注目が集まっている。その意味で、これから大きなカギを握るであろう、SKE社の赤塚社長を直撃した。

「私がKeyHolderと秋元康の橋渡しをした」

――最近、SKE48のエースである松井珠理奈が自らのグループを描いたドキュメンタリー映画で、「ウチらが戦うのはもうAKBじゃない、乃木坂だから」と乃木坂46に対するライバル心をあらわにした発言をし、話題になりましたが。

SKE48はイオンカードとも提携。大手企業からの引き合いはまだまだ多い(中央右がグループ総選挙1位の松井珠理奈)

いやいや、私は乃木坂さんの成長過程の一部に、仕事として携わってきただけなので。しかしそれは私の財産となっています。まず、KeyHolderが旧スタジオアルタを借り、KeyStudioという会社を作った。2018年7月から営業を始める過程で、オルファスがスタジオ運営の業務委託を受けたのが始まりです。

KeyHolderの親会社である金融会社Jトラスト(東証2部上場)の藤澤信義社長と、「KeyStudioから新しいコンテンツが生まれていくと面白い」という話をしていました。オルファスは乃木坂46関連の仕事を通して秋元先生や弟の伸介さんにお世話になっていたので、コンテンツを生み出す相談をしたところ、KeyHolderグループと秋元先生の関係が生まれました。

――つまりKeyHolderグループ、その親会社Jトラストの″総帥″である藤澤氏と秋元氏の橋渡し役をしたのは、赤塚社長だったのですね。

1年くらい前でしょうかね。そのときにはSKE48の話はまったくなかったです。その後、運営会社AKSと話す機会が増え、藤澤社長がたまたま(SKE48の地盤である)岐阜出身だったこと、名古屋周辺の土地柄なのか、メンバーとの関係が密接でファンのロイヤルティーが高い点も重要なポイントになり、譲渡の話がまとまりました。

――SKE48のファンのロイヤルティーの高さは、名古屋発祥の「カレーのココイチ」のキャンペーンもあり、企業が注目しています。最近では昨年11月、イオンカードが男性顧客を開拓する目的で、SKE48という初めてアイドルを起用した提携カードを投入しました。こうした土地柄も関係ありますか。

最終的に大きかったのは、SKE48のメンバーに個性が備わっていて、AKB48グループでも最も輝いている子たちが多い、と個人的に感じていたということでした。面白い輝き方をしている、と言ってもいいかもしれません(笑)。

――KeyHolderは2018年3月期に主力のゲームセンター運営事業を売却、2019年3月期に不動産事業で食いつなぎ、2020年3月期に向けて総合エンタメ企業へ脱皮している最中。赤塚社長がJトラストの藤澤社長やAKSの吉成夏子社長(パチンコメーカーの京楽産業.グループ出身)と出会い、SKE48をKeyHolderグループにおける総合エンタメの核として引き受けたわけですね。京楽グループとしても10年前の立ち上げから手塩にかけて育てた“愛娘”を手放すのは大きな決断だったと思います。

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