あのSKE48に買収価格「30億円」の価値はあるか 買ったKeyHolder社は乃木坂人脈も使う凄腕

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はい。2018年の8月ごろから話し始め、11月には発表しましたが、なかなか苦しい選択だったと思います。その思いはわれわれもしっかり受け継いでいきたいと思っています。

――しかし、SKE社とオルファスの社長業を兼務ということで、乃木坂46や韓国女子アイドルグループのTWICEの仕事もしながらSKE48の舵取りもするというのは、大変そうですが大丈夫ですか。

SKE48は規模もそれなりに大きい。SKE社長もオルファス社長も続けるので、最初にJトラストの藤澤社長から頼まれたときは躊躇の念もありました。ただ、所属レコード会社が私の古巣のエイベックスだったことは、決断の決め手になりました。いまだにお世話になっている会社で、CD販売以外にもいろいろな提携ができると思いました。エイベックス社内にはSKE48のメンバーへの思い入れを持ち、彼女たちの個性をよく把握している人も多いので、力になってもらえると信じています。

――確かにSKE48には須田亜香里や松村香織のような、個性とそれをアピールする力でのし上がってきたメンバーが多い。その生き様に魅力を感じたファンたちが、彼女たちを支え、押し上げてきたと言えます。

そういう個性って、われわれがああだこうだ言って、芽生えるものではないです。もともと生まれ持ってきたもの、身につけてきたものだと思います。今のファンのみなさんは、アーティストの名を冠した商品を作っても、そこに信憑性がなければ見抜いてしまいます。「やらされている感」は見抜かれてしまうんです。そういう意味で、SKE48のメンバーは個性があって面白い子が多いので、いろいろやりがいがあると思います。

劇場は名古屋・栄のままで変わらない

――SKE社は本社が東京・虎ノ門ですが、名古屋が拠点なのは変わらないのですか。「名古屋から出ていってしまう」と心配するファンの声をよく聞きます。

SKE社の新ロゴ。SKEの3文字、グループカラーのオレンジ、劇場が入るビルの観覧車を表現

SKE48劇場も名古屋・栄のサンシャインサカエから変わりません。3月から、われわれが運営させてもらうにあたって最も意識するのは、地場の企業や媒体との連携をしっかりと築いていくことです。1年目はそこを固め、ゆくゆくは日本全国、アジアへと展開させたいですね。48グループの強みは地域性だと思っています。

――上場する芸能マネジメントの会社は、エイベックスとアミューズくらいで、ホリプロや吉本興業は上場廃止しました。SKE48が主要事業となることで、数字がガラス張りになるが、不安はないですか。

上場は最大の武器にもなりますが、同時に細心の注意も払わなければいけません。そこはKeyHolderグループの管理部門と連携しながらやっていきたい。もっとも、情報化が進んだ今の社会では、われわれがきちんと管理できていることも発信しやすくなるので、武器にもなります。法に触れないことを前提に、なるべく自由にしていきたいと思っています。まずはスタッフのコンプライアンスに関する意識の統一を図ることが必要です。

――秋元康・特別顧問はKeyHolderの総合エンタメ化戦略にどのように関わってくるのでしょうか。

どう関わっていただくかは、われわれがメンバーとも相談する中で、提案や企画をどんどん上げ、アドバイスをいただく形になるでしょう。KeyHolderグループでいえば、SKE48だけではなく他のエンタメ分野も広げていくので、そちらも相談します。

――乃木坂46はメンバーが卒業後も同じ事務所がマネジメントしている。そういうことを想定しているのでしょうか。あるいはほかのアイドルユニットや別種のタレントもマネジメントするとか。

卒業メンバーのマネジメントもありえますし、いい意味でSKE48のメンバーを刺激できるような別のアイドルグループを作っていくかもしれません。売れることも大事ですが、息の長いアーティスト活動をしてもらうことのほうが大事だと、考えています。

(文中敬称略)

竹内 一晴 ジャーナリスト

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たけうち かずはる / Kazuharu Takeuchi

1970年名古屋市生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。大手芸能事務所、CS演劇専門放送局プロデューサー、写真週刊誌専属記者等を経て2004年からフリー。報道・表現の自由、大学自治、韓国社会事情、カラオケ、アイドル等の記事を執筆。田島泰彦編『個人情報保護法と人権―プライバシーと表現の自由をどう守るか』に論稿掲載。48グループの推しメンは松井珠理奈(SKE48)、注目株は山田菜々美(AKB48・Team8)だが、全メンバーを公平に見ることをモットーとする。

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