2020年に発売を開始する「ID.」ではMEB(モジュラーエレクトリックドライブマトリックス)と呼ばれるBEV専用のプラットフォームを採用する。MEBは、コンパクトカーからSUV やミニバン、そして小型の商用車(GVW2t程度)に至るまで、幅広いセグメントでの活用を想定したマルチ設計思想のもと開発された。
ジュネーブモーターショーではそのMEBを採用したID.ファミリーの一員として、「ID. BUGGY」が世界初公開された。フォルクスワーゲンが1960年代に世に送り出していた「デューンバギー」をモチーフに、現代風にアレンジしたデザインをまとって登場。ご覧のとおりオープントップで天井がなく、ドアもない。目玉のようなヘッドライトとその色合いからカエルを思わせる愛くるしいスタイルだが、このままの状態で発売されるかどうかは微妙なところ。ID. BUGGYの公開にはMEBを採用することでこうした遊び心あふれるBEVが少量生産ながら実現可能であることを知らしめる意図があったと判断できる。
自動運転技術との親和性
また、MEBと自動運転技術との親和性についてフォルクスワーゲンのフランク・ウェルシュ氏は「プラットフォームの要素技術は、すでに発表している自動運転車両SEDRIC(SAEレベル4以上を実現可能)と同じだが、MEBではレベル2+(ロバスト性の高いレベル2)あたりを中心に開発を行っている」と語った。
さらに会場では、MEBが外部に供給されることも発表された。最初の供給先はドイツに籍を置く「e.GO Mobile AG」だ。e.GOは、2018年6月開催の国際情報通信技術見本市「CEBIT2018」(ドイツ・ハノーファー)でもフォルクスワーゲンブースの隣にブースを構えており、当時から電動車両開発に関する協力関係があった。
このMEBの外部供給について、どこまでの分野が供給されるのかという質問を前出のヨースト氏にぶつけてみると、「MEBが車両として機能する部分まで供給する」と答えるにとどまった。BEVでは要となる、例えばバッテリーマネージメントやコネクティッド技術の供給に関する言及はなかった。しかしながら、こうしたサードパティにもMEBが供給されることで、「2025年までに年間100万台以上のBEVを販売する」(ディース氏)としたフォルクスワーゲンの目標達成には確実に一歩近づくことになる。
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