同性婚容認で揺れる台湾 「多様性ある結婚」をめぐって、対立が先鋭化
多くの婚姻同権支持者も、それぞれの方法で社会と対話し始めた。かつて陳水扁政権打倒運動を指揮した施明徳元民進党主席の妻、陳嘉君もそのうちの1人だ。彼女はデモの当日、娘を連れて群衆の中に入り、法案支持を訴えた。陳嘉君の話を聞いて、キリスト教信者の中年女性が対話を申し出た。この女性は同性婚に対する懸念を示し、同性愛者を差別しているわけではないが、「ごく少数の人」のために法改正をする意義はどこにあるのか疑問に思うと述べた。
これに対し陳嘉君は、「法律の目的はすべての弱者に同等の権利を与えること。現行の法律は同性愛を差別している」と説明した。女性は納得し、そばにいた同性愛者を祝福した。この約12分の対話はYou tubeにアップされた。3日間の再生回数は40万回に達し、多くのネットユーザーはこの対話を非常に評価した。
誠意ある対話で賛成派の支持拡大も
しかし、婚姻同権の法改正の前途は暗い。この論争は台湾の二大政党である国民党と民進党の両陣営を超えており、世代間でも意見の違いがあるからだ。
改正法案の提案は民進党議員が中心となって行われたが、民進党中央は態度を表明しておらず、柯建銘・党団総召集人は個人的に反対の見解を示した。国民党陣営では、総統府、行政院、党執行部ともに態度を保留している。王建煊・監察院長、丁守中ら多くの国民党議員は街頭に出て反対を表明した。林鴻池・国民党政策会執行長はさらなる対話と討論の必要性を訴えた。
民進党の柯建銘・党団総召集人は、「婚姻同権の法改正は民進党内部でも立法院でも共通認識に達しておらず、可決は難しい。今会期中は不可能だ。2014年に選挙を控えているため、政党が可決を強行することはあり得ない」と述べている。