同性婚容認で揺れる台湾 「多様性ある結婚」をめぐって、対立が先鋭化
2つ目の草案はパートナーシップ制度の確立を主張し、両人が望めば契約によりパートナーになれるとするもの。3つ目の案は、一対一の関係だけでなく複数人数の夫婦関係を選択できるようにするものだ。この2つの案は社会の反発が大きく、議員から提案されていない。
しかし、同性婚合法化の法改正は台湾社会の二極化対立を引き起こした。宗教団体の呼びかけで、多くの父親母親が子供を連れて「民法972条改正反対」を訴えるデモに参加した。
デモ主催団体は「多様性ある結婚」法案を「性解放」法案と呼び、成立すれば台湾の道徳喪失を招くと主張。さらには李登輝元総統までもが同性婚に反対を表明した。
反発はなぜこれほど大きかったのか。提案者の1人の鄧麗君議員は、「3つの法改正案を同時に提案すると可決されにくいと考えて、婚姻同権の法改正草案を先に提出した。しかし反対派は同列に論じ、同性愛、不倫、愛人に反対する動きにしてしまった」と言う。
学生らが法改正支持に動く
伴侶盟の簡志傑秘書長によると、パートナーシップ制度と婚姻同権を混同したり、パートナーシップ制度のうちの『一方的関係解除』を離婚が簡単になったと勘違いしたりするなど、誤解して参加した人が多かったという。
反対派のデモに対し、支持派も対抗措置に出た。12月2日、台湾大学や政治大学など20近くの大学の学生代表数十人からなる「同性婚を支持する学生連合戦線」が立法院前に集結し、宗教団体が同性婚をこれ以上蔑視しないよう求めた。学会も科学や人権、教育、宗教等の観点から法改正を支持し、ネット上で「婚姻同権を支持する学術従事者の連合声明」への署名を呼びかけ、台湾大学国家発展研究所の劉静怡教授、政治大学ジャーナリズム学科の方念萱副教授らが署名した。