露呈したムハンマド皇太子の「やりたい放題」 一般市民を監視、拉致、拘束、そして拷問
サウジアラビアの当局者らは、こうしたチームの存在を確認または否定すること、その任務をめぐる質問に回答することを拒否した。
サウジアラビアはそれまでも国外に住む反体制派ら自国市民を標的にしてきたが、2017年に新たに皇太子に選ばれたムハンマドが権力掌握に動きだしてから、弾圧は急速に激しさを増している。
一般市民まで拘束
ムハンマドは、前皇太子で安全保障・治安部門を率いていたムハンマド・ビン・ナーイフ氏を押しのけ、情報機関を配下に収めた。以来、サウジアラビアの治安部隊は、脅威と見なした大勢の宗教指導者や知識人や活動家ばかりでなく、政府を批判したり風刺したりするツイートをした一般市民も拘束している。
「これほど大規模な取り締まりは初めてだ」と、CIAの元分析官でブルッキングス研究所シニアフェローのブルース・リーデル氏は言う。「以前なら、ジャマル・カショギのような反体制派に労力を費やしても意味がないと判断していたはずだが」
アメリカの当局者によれば、ムハンマド皇太子が承認した緊急介入グループを統括していたのは、王室顧問でメディア対策を担っていたサウド・アル・カハタニだ。現場の指揮者はカハタニの側近で、ムハンマド皇太子の外遊に同行してきた情報将校のマヘル・アブドゥルアジズ・ムトレブだった。
サウジアラビア王室警備隊員で、2017年にムハンマド皇太子の宮殿が襲撃された際に勇敢な行動を見せたとして昇進したタール・ガレブ・アルハルビも同グループに加わっていた。
あるサウジアラビア当局者によると、ムトレブとハルビは現在、首都リヤドにおいてカショギ氏の死に関連する容疑で裁判にかけられている。一方、カハタニは自宅軟禁中で渡航を禁じられ、捜査の対象になっているという。そのため、緊急介入グループが今も活動しているかどうかは明らかでない。