露呈したムハンマド皇太子の「やりたい放題」 一般市民を監視、拉致、拘束、そして拷問

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緊急介入グループはサウジアラビアで昨年の春と夏、十数人の女性権利活動家が拘束・虐待された一件にも関与していたようだ。

女性の自動車運転の解禁を訴えていたこれらの活動家のなかには、アラブ首長国連邦から自ら運転する車で帰国しようとして投獄された経歴を持つルジャイン・アル・ハズルール氏、元コンピューターサイエンス教授のアジザ・アル・ユセフ氏、言語学講師のエマン・アル・ナフジャン氏ら著名女性が含まれていた(訳注:サウジアラビアでは昨年6月、女性の自動車運転が国王令によって許可された)。

待遇が過酷すぎ、自殺を試みた

ハズルール氏の姉妹のアリア・アル・ハズルール氏によると、女性たちは当初は刑務所でなく、紅海沿いの都市ジッダの使われていない宮殿と思われる場所で非公式に勾留されていた。1人ずつ小部屋に監禁され、部屋の窓は覆われていたという。一部の女性は頻繁に階下へ連れていかれて尋問され、その一環として殴打や電気ショック、水責めを受け、レイプする、殺害すると脅迫された。

自分の拷問の際にはカハタニが「数回姿を見せ」、彼女を殺して死体を下水に投げ捨ててやると脅されたと、アリア・アル・ハズルール氏はニューヨーク・タイムズに寄稿した記事に書いている。

アメリカ当局の情報では、待遇があまりに過酷だったため、ナフジャン氏は自殺を試みた。

女性たちは刑務所に移されてからは身体的虐待を受けず、親族と面会できるようになったと、アリア・アル・ハズルール氏は語っている。

女性たちの裁判は3月13日にリヤドで始まった。だがジャーナリストや外交官は傍聴を許されず、サウジアラビア政府は彼女たちに対する容疑も公表していない。

ハズルール氏やユセフ氏、ナフジャン氏は「国家安全保障を脅かす活動に関して」裁判にかけられていると、サウジアラビア当局者は話した。

(執筆:Mark Mazzetti、Ben Hubbard、翻訳:服部真琴)

© 2019 New York Times News Service

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