前代未聞!「行き先間違えた飛行機」乗客の反応 ロンドンからデュッセルドルフに行くはずが

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したがって「飛行機は定刻どおりに飛ぶもの」と信じている人々よりも、概して「数時間遅れることを加味し、パツパツのスケジュールは作らない」と自衛策を採る人々のほうが多い。そんな背景もあり、遅延や取り消しによる「とばっちり」で約束に遅れる人や来ない人への対応はどちらかといえば寛容だ。

月曜日朝のイギリス発ドイツ行きの各便はビジネス客の利用が多く、毎週のように同じ便に乗る搭乗客も少なくない。ところが不幸にも今回の「行き先勘違いフライト」の機内で「飛んでいる場所がおかしい」と訴える人がいなかったところをみると、多くの搭乗客は席に着くなりぐっすり寝ていたのでは、とすら思えてくる。

この夏は借り物の機材と乗員が増える?

ちなみに、筆者もごく最近、午前6時台にロンドンを出発する短距離便に乗ったが、エンジン故障で出発が1時間近く遅延するトラブルに見舞われた。ところが「どうしてくれるんだ。早く行きたい。何とかしろ」などと騒ぐ乗客はおらず、ただ漫然と出発を待ち、目的地に着いても出口に向かって走る人もいない、という状況だった。時にはとても急いでいる人がいるだろうが、フライトが遅れても大多数の搭乗客は「ここで騒いでもしょうがない」とばかり、のんびり構えるのが普通の反応だ。

今回のケースでは、「あの行き先勘違いフライトに乗っていたこと」をネタにして、ビジネス上のコミュニケーションをさらに広げようと考える「被害者」がほとんどのように思える。欧州連合(EU)の規定により「1500キロ未満のフライトで2時間以上遅れた場合は補償の対象」となるので、何らかのお見舞金的補償が得られる可能性もある。そんな背景を総合的に考えると、「3時間半遅れでデュッセルドルフでのランチは食べられなかったが、そこそこ仕事もできて、お金も戻ってきそうだからまぁいいかな……」と落ち着くのではないだろうか。

イギリスの著名航空アナリストの1人、サイモン・カルダー氏は「この夏、機材と乗員をどこから借りて飛ばすウェットリース運航便が激増する可能性がある。なぜなら、ボーイング737MAXシリーズが飛べない分を何かで埋める必要が出てくるかもしれないからだ」と懸念を口にしている。

標準化されたサービスの提供がままならないリース機や乗員による運航便は、顧客に対する心証は得てしてよくない。今回の「行き先勘違いフライト」の教訓を胸に、航空各社は確実な安全運航を心がけてほしいものだ。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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