「5時に夢中!」がぶち壊したテレビの常識 大川貴史プロデューサーに聞く

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鈍感だから「濃い人」しか僕には届かない

――「企画」はどう立てていますか?

番組に出演いただいている玉袋筋太郎さんと中瀬ゆかりさんが、ラジオで「(大川氏は)感性が鋭いというわけではない。逆にものすごく鈍いと思う」とおっしゃっていた。そのとおりで、僕は恐ろしく“鈍感”な人間です。

悪口も気にならないというか、面と向かって言われないと「気がつかない」タイプ。そんな鈍さがあるからこそ、逆にマツコさんみたいな、「濃い人」しか届かないわけです(笑)。

だから、企画は、僕のような「いちばん鈍感なヤツ」に届くようなモノでなければダメだと思っています。テレビは最終的に「わかりやすさ」だと思うのです。どんなにかっこいいことやおしゃれなことをやっても、視聴者に届かなければ、伝わなければ意味がない。だから、企画は「オレ基準」(笑)。「オレがわかるか、どうか」がすべてです。

――プロデューサーとして自信がついたのはいつ頃ですか。

最初はまったくありませんでしたね。プロデューサーになったのも「いちばん年上だから」という理由で、何をしていいかわからなかったですし。「5時に夢中!」の前に担当していた番組では、今よりも制作費もなく、出演者のブッキングも「プロデューサー以外の権限」で決められていたこともありました。たとえば、曜日のスポンサードするかわりに番組に出演させてくれというたぐいから、誰かの口約束で出演しているタレント、ぶっちゃけていうと、「関係者(当時の偉い人)の愛人みたいな人だから(?)」という理由で出ていたケースもありました(笑)。そういう人たちを2年かけて、少しずつ排除していくことから始めなければなりませんでした。

そうした無我夢中でやっている中で、当時、3度目の東京進出をしたTKOさんや満島ひかりさん、安田大サーカスさん、小島よしおさんなど「自分が面白い」と思った人がことごとく売れていったことが自信につながりましたね。自分の“見る目”とは思わないですが、自分の“感覚”が世の中の感覚とずれていないんだな、僕が「面白い」と思うことが世の中にとっても「面白い」になるんだなと。

というか、そういうのを信じないと、やってられないですよ。なにせ当時は「誰も見ていない放送局」だったんですから(笑)。そうした経験の後で、突然、始めることになったのが「5時に夢中!」で、しがらみのない中、自分で出演者を決められた初めての番組だったんです。

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