東大カリスマ教授の「教育論+メディア論」

塩野誠×松尾豊 特別対談(下)

大学はブランド価値だけあればいい

塩野:今後、大学はどうなっていきますか?

松尾:わからないですね。なくなる可能性もあるとは思っています。僕はある意味、大学はブランド価値だけあればいいと思っています。ヴィトンみたいに、ブランドマネジメントをちゃんとやる。はっきり言って、学生がどういうふうに賢くなろうが、そこの大学とは関係ないのですよね。いい教育だけを提供すると言うことは、もはや本質的に大学とは違う商売だなと思っています。オンライン教育で最適化していったほうが絶対に効果は高くなる。もちろん、認定の方法は大事だと思いますが。

塩野:松尾さんが行っていたスタンフォードは、莫大な寄付金とかを見ると、ビジネスとして成功していますよね。

塩野誠(しおの・まこと)
経営共創基盤(IGPI)パートナー/マネージングディレクター。慶應義塾大学法学部卒業。米国ワシントン大学ロースクール法学修士。 シティバンク銀行、ゴールドマンサックス証券、インターネット関連会社起業、ベイン&カンパニー、ライブドア証券取締役副社長を経て、現職。

松尾:いい人をいい人だと認定することは、社会的に価値があることだと思います。クレジットを最初に与えているわけなので、ある意味、スタンフォードは後からそのクレジットを回収しているわけなのですよね。人の与信における銀行業みたいなものです。目利きがしっかりとできて、その人が企業に評価されていれば、その国は回っていくと思います。

塩野:よく言われることですが、アメリカの大学は、その大学にいたからノーベル賞が生まれたわけではなくて、ノーベル賞を取りそうな人をよそから採ってきているという。

松尾:ある種の生態系ですよね。どこから始めるか、どこでブーストするかみたいな話だと思います。ノーベル賞を取りそうな人を採ってくるというのもひとつのブーストの仕方ですよね。ただ、そこのスタンダードなやり方というのは、まだ体系化されていない気がします。そこに日本の大学の戦略がある気がします。

塩野:SNS、たとえばスパイシーやリンクトインなんかを見ていると、人が人に信用付与する仕組みというのが、だいぶ可視化されてきた気がします。

松尾:そうですね。昔は、SNSのように可視化する仕組みがなかったから、組織単位で信用するしかなかった。今のテクノロジーをもってすれば、最終的には、誰が誰を信用するかというところに分解できると思います。

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