中小企業のデータを持たない韓国・中小企業庁

売上高も把握できず、他省庁との連携も未熟

卒業基準を超えたとしても、中小企業への優遇策を受けることができる猶予期間を3年間は与えることにしている。現行制度と同じだ。ただ、猶予期間は1回のみ。中小企業を卒業した中堅企業が、中小企業の優遇策を受けるために職員数を減らしたり株式保有数を替えたりするなど、再び中小企業に戻ろうとするケースを防ぐためだ。

改編案が確定するまでには陣痛を経た。当初、中小企業庁は中小企業基準の売上高上限を800億ウォン(約80億円)に設定していた。同庁は「EU(欧州連合)の基準である5000万ユーロ(約70億円)を参考にした」と言う。これには中小企業が強く反発した。準備もなく中小企業への優遇策を打ち切れば、その衝撃は計り知れないという理由からだった。業界は基準額を2000億ウォン(約200億円)と要求。結局、1500億ウォン(約150億円)となった。

中小企業庁は2014年に改編案が施行されれば、中小企業の759社が卒業し、中堅企業683社が中小企業に編入される予定だと明らかにしている。中小企業が75社減少することになる。この数字は、中小企業全体の0.0023%に過ぎない。当初の政府案通りに800億ウォン基準だとしても、中小企業数は全体の0.0027%である880社程度に過ぎないのだ。

売上高で中小企業を定義するが…

それでも、今回の改編案は少なくはない好感を得た。曖昧模糊としていた中小企業の基準を売上高で単一化したことについて、多くのメディアが好意的に取り上げた。中小企業側は「歓迎する」という立場を明らかにしている。反対はもちろんあった。全国経済人連合会(全経連)傘下の韓国経済研究院は改編案発表直後に報告書を出し、「中小企業の範囲を決める基準を単純化した点は望ましいが、基準がまだはっきりせず、企業間の対立を誘発する可能性が高い」と指摘した。同研究院のイ・ビョンギ先任研究委員は「経済協力開発機構(OECD)会員国のうち、米国を除いて、売上高を単一基準として中小企業の範囲を決めた国はない」と指摘する。

中小企業庁の韓正和(ハン・ジョンファ)長官は改編案発表の際、「(従業員数や資本金のうち要件を一つだけでも満たせば中小企業として認められる)既存の基準では、いわゆるピーターパン症候群(大人という年齢に達しているにもかかわらず精神的に大人にならない男性を指す言葉)が発生し、実際に成長した企業にもかかわらず中小企業に残留する問題点があった」と指摘、「今回の改編案が実施されれば、雇用と投資の促進はもちろん中小・中堅企業政策の実効性も高まると期待している」と述べている。

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