卒婚願望アラフィフ夫婦が定年前にすべきこと 50代昭和型夫婦はこのままだと老後がヤバイ
私は「プレ定年夫婦専門FP(ファイナンシャルプランナー)」として、アラフィフ世代のお金の相談をさせていただいています。実は私自身が会社員の夫と子どもを持つ主婦であり、ご相談にいらっしゃる方も、私のような主婦の方がほとんどです。
先日、私のもとに来られたAさんの相談内容は、「夫から丸投げされた家計管理」についてでした。
Aさんは家計管理が得意ではありませんが、夫も同様でした。良妻賢母の義母が完璧にこなしていたからです。それで有無を言わさず、Aさんが家計管理をすることになりましたが、その結果、結婚生活30年で貯金はほぼゼロ状態。
それにもかかわらず、夫に現状報告することや話し合う機会を持つことはありませんでした。夫はAさんが上手にやりくりをしていると思っているようで、慌てて相談に来られたのです。
実は、アラフィフ夫婦に多いのが、こうした「家計管理は妻まかせ」や「夫から毎月の生活費を渡されるだけで、貯蓄状況がわからない」というものです。日頃からのコミュニケーションなどの有無から、夫婦仲は当然、家計状況に大きな影響を与えます。家計状況がよくないと、「妻の卒婚願望」を助長することにもなりうるのです。
不況で培われたアラフォー世代のたくましさ
このような夫婦は、昭和30年代後半から40年代前半生まれのアラフィフ世代に多く、彼らは社会構造が変化する中でも、「男は仕事、女性は家庭」という「親世代の価値観」にとらわれた、いわば“ガラパゴス夫婦”と言えます。
親世代は昭和の高度成長期の波に乗った “昭和型夫婦”です。女性は専業主婦が前提、男性は正社員として終身雇用で働き、会社の福利厚生が家族の生活保障を担い、55歳から支給開始の年金で老後の生活も守られていました。彼らの現役時代は人口動態、雇用、年金など、世の中は効率よく、多くの人の暮らしは順調に回っていました。
しかし、そんな親たちの価値観は、現実にはすでに崩壊しています。バブル景気を体験したガラパゴス夫婦は、いつのまにか下りのエスカレーターに乗ってしまっていることにも気がつかず、親世代の常識を引きずっている人が多いのです。
時代と相反する認識と役割の押しつけが、長年の結婚生活で夫婦仲に影を落としてきたと言えるでしょう。親世代と同じく自分たちも大丈夫と、ゆでガエル症候群に陥っているのを目の当たりにすると、危機感を覚えます。
一方、昭和50年代生まれの、好景気を知らない時代に育った“平成型夫婦”は、「不安定な雇用」や「公的年金の減少」といったリスクに対して、夫婦共働きや貯蓄の励行などで、ある程度、対応できているたくましい世代です。
年金逃げ切り世代とも言われる昭和型夫婦は、卒婚できる経済的ゆとりがあるかもしれませんが、新旧世代から取り残されたガラパゴス夫婦にとって、「卒婚」は老後破綻への道を突き進んでいるとしか思えません。必要なのは卒婚ではなく、「新しい形の夫婦円満」です。今後の10年が家計、夫婦関係、人生立て直しのラストチャンスと言えるでしょう。
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